まさに走る芸術品か世界遺産!? 美しすぎるクルマ5選
くるまのニュース / 2021年4月26日 6時10分
売れるクルマか売れないクルマか、これを左右する重要な要素のひとつが外観のデザインです。また、デザインはクルマのキャラクターを表すことで、そのクルマがどういう目的で使われるかが決まるといっても過言ではありません。一方で、芸術品のような美しいクルマも存在。そこで、美の化身ともいうべきクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■だれもが美しいと評するようなクルマを振り返る
クルマの販売台数を左右する重要な要素のひとつに外観のデザインがあります。外観のデザインを見た瞬間に、第一印象が決まり、ぜひ乗ってみたい、買いたいとの行動に移るのではないでしょうか。
ただし、あまりにも高額なクルマや、今の住環境では持つことがかなわないというケースもあります。
そうした手の届かないモデルでも、見るだけで満足できるような美しいクルマが存在。
そこで、まさに美の化身ともいうべき往年のモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●BMW「6シリーズ」
今でも「世界一美しいクーペ」と評されている「E24型 6シリーズ」
近年、BMWのモデルは、特徴的なキドニーグリルの大型化が話題となりますが、確かに過去のモデルを振り返ると、それほどキドニーグリルを主張していなかったといえます。
なかでも1970年代から1980年代に登場したモデルは、小ぶりなキドニーにスタイリッシュなフォルムを組み合わせたモデルが散見され、とくに美しいクーペと評されたのが「E24型 6シリーズ」です。
初代となるE24型 6シリーズは、1977年に同社のフラッグシップクーペとして誕生。デザインはフランス人カーデザイナーのポール・ブラックによるものです。
通称「ビッグシックス」と呼ばれる3.2リッターから3.5リッター直列6気筒自然吸気エンジンを搭載し、その6気筒エンジンを収める長いフロントノーズ、キャビンの位置と高さ、トランクの形状と長さと、それぞれが絶妙なバランスのうえで構成されており、後に世界中のクーペデザインに多大な影響を与えました。
また、初代6シリーズは美しいだけでなく、BMWモータースポーツ社によってチューニングされた「M635CSi」や、BMWチューニングの第一人者であるアルピナによるコンプリートカー「B7ターボ」「B9 3.5」などが登場し、「美しいクルマは速くなくてはいけない」を具現化。
今も6シリーズは「世界一美しいクーペ」として、世界中に数多くのファンが存在します。
●ディーノ
美しいミッドシップスポーツカーの代名詞のような「ディーノ246GT」
誰もが知るスーパーカーメーカーのフェラーリは、もともとレーシングカーをつくるコンストラクターという業務がメインの会社で、その資金を調達する目的で市販車を売っていたといわれています。
そのフェラーリから1968年に発売されたモデルが「ディーノ206GT」で、同社初のリアミッドシップの市販車という記念すべきモデルでした。
ディーノ206GTの車名は2リッターV型6気筒DOHCエンジンを搭載したことに由来しますが、当時のフェラーリといえばV型12気筒エンジンを搭載するのがスタンダードでしたが、エンツォ・フェラーリの息子であるアルフレード・フェラーリが考案し、レース用に開発されたV型6気筒エンジンを採用しました。
外観はレーシングカーのように流麗でグラマラスなアルミ製ボディで、フロントフェンダーに配置されたヘッドライトや抑揚のある前後フェンダー、ミッドシップのお手本のようなリアウインドウまわりの造形と、すべてが美しさを表現。
その後、1969年に195馬力を発揮する2.4リッターV型6気筒エンジンを搭載した「246GT」が登場。ボディをスチール製に改めたとはいえ1トン強の軽量な車体により、高い運動性能と動力性能を誇りました。
このディーノにはフェラーリの名がついていないという有名な話があり、「V型12気筒エンジン車以外はフェラーリと呼ばない」という当時のエンツォ・フェラーリのポリシーという説や、若くして病で亡くなったアルフレード・フェラーリの愛称「ディーノ」だけを名付けることで哀悼の意味があるといいます。
●ランボルギーニ「ミウラ」
美しさだけでなく荒ぶるほどの性能を手に入れた「ミウラ P400SV」
フェラーリと長年ライバル関係にあるスーパーカーメーカーのランボルギーニは、農業用トラクターの製造販売からスタートしたメーカーとして知られています。
1950年代にはトラクターメーカーとして成長したランボルギーニは、創業者のフェルッチオ・ランボルギーニが高性能なクルマが好きなことから、1964年には本格的なスポーツカー製造に乗り出しました。
自動車製造の初期は、FRの流麗かつ高級なクーペの生産からスタート。そして、1967年に発売された「ミウラP400」は、リアミッドシップにV型12気筒エンジンを横置きに搭載するスーパーカーとして誕生しました。
ミウラP400のボディサイズは全長4360mm×全幅1780mm×全高1080mmと、現代のクルマと比較するとコンパクトですが、地を這うような低さと風を切り裂くような美しいフォルムは芸術品とも評されています。
エンジンは350馬力を発揮する3.9リッターV型12気筒(ミウラP400)で、エンジンルームにトリプルチョークのウェーバーキャブレターが4つ並ぶ光景は、性能を誇示するだけでなく機能的な美しさが感じられるほどです。
1968年には最高出力が370馬力に向上した「P400S」、さらに1971年には385馬力までパワーアップした「P400SV」が登場し2021年でちょうど50周年を迎えました。
ミウラは1973年に生産を終了し、1974年に発売された「カウンタック」が実質的な後継車ですが、約6年間の生産台数はわずか765台で、その希少性からオークションに出品されれば1億円以上でないと売買が成立しない状況です。
■日本車も負けていない! 美しい国産車の2台
●トヨタ「2000GT」
日本の自動車史のなかでも美しさでは圧倒的に際立っているトヨタ「2000GT」
1960年代というとやっと日本のモータリゼーションが幕を開けた頃で、マイカーを持つのはまだ夢のような時代でした。
そんななかトヨタは世界に通用するスポーツカーをつくるという目標を掲げ、1967年5月に発売されたのが「トヨタ2000GT」です。
外観のデザインは、英国製スポーツカーの伝統的なフォルムのロングノーズ・ショートデッキで、複雑な曲面で構成された流麗なファストバックスタイルを採用。高級なスポーツカーにふさわしい美しいフォルムとなっています。
内装はローズウッドをふんだんに使ったインパネやセンターコンソールに7連メーターを搭載するなど、外観と同様に英国調に仕立てられました。
搭載されたエンジンは2リッター直列6気筒DOHCでツインチョークのソレックス3連キャブレターを装着。最高出力150馬力を誇り、最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒と、トヨタの目標どおり世界トップクラスの動力性能を実現。
また、トヨタ2000GTには数多くの国産車初の技術が採用され、リトラクタブルヘッドライトや、足まわりでは4輪ダブルウィッシュボーンと4輪ディスクブレーキなどが挙げられます。
後にフロントマスクのデザイン変更などマイナーチェンジがおこなわれ、1970年までの3年ほどで生産を終了。海外にも輸出されましたが、トータルの生産台数はわずか337台でした。
●スバル「アルシオーネSVX」
巨匠ジウジアーロの手によって美しく仕立てられた「アルシオーネSVX」
1985年にスバルは初のスペシャリティカー「アルシオーネ」を発売。徹底的な空力性能向上を目的にデザインされた外観によって、国産車で初めて空気抵抗係数Cd値0.30を下まわる0.29を達成する意欲作でした。
そして1991年に、2代目にあたる「アルシオーネSVX」が発売されると、外観は初代の直線基調から曲面で構成された美しいフォルムに一新。
デザインは巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが原案を手掛け、「ミッドフレームサイドウインドウ」と名付けられた特徴的な側面の造形によってアルシオーネSVXの個性的な美しさを表現しています。
搭載されたエンジンは最高出力240馬力を発揮する3.3リッター水平対向6気筒自然吸気で、駆動方式はフルタイム4WDを採用。
トランスミッションは4速ATのみとされるなど、アルシオーネSVXは生粋のスポーツカーというよりもプレミアムなGTカーというコンセプトとなっていました。
しかし、バブル崩壊の時期に重なって発売されるというタイミングの悪さもあり、アルシオーネSVXヒットすることはありませんでしたが、1997年までの約6年間と、比較的長く生産されました。
※ ※ ※
前述のとおりミウラは1億円以上の価格で取り引きされており、ディーノやトヨタ2000GTも数千万円以上の価格が相場です。
コロナ禍において一時はクラシックカーの相場も下がったのですが、今では完全に価格は回復し、車種によってはコロナ禍以前を上まわる水準となっています。
今後の値上がりに期待する投機的な面もありますが、コロナ禍でお金を使う機会が減ったセレブが、こぞってオークションに参加しているというケースも多いようです。
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