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タクシー料金の「値引き交渉」は違反強要? 運賃の無断変更がダメな理由とは

くるまのニュース / 2021年9月3日 7時10分

雨の日やお酒の飲んだ際に利用することも多いタクシー。料金支払時に酔った勢いで「値引き交渉」をおこなう人がいますが、これは違反行為の強要になる可能性があります。なぜタクシー料金の値引きはダメなのでしょうか。

■タクシーの運賃は「公共料金」 勝手な値引き行為は法律違反に該当する場合も

 街中で見かけるタクシー。ニュースなどではお客とのトラブルが報じられることも見受けられます。
 
 そうしたなかで、タクシー料金の「値引き交渉」は法令違反になる可能性があるといいますが、どのような理由からなのでしょうか。

 タクシーを利用する際、酔っ払った人などが運転手に直接「値引き交渉」をする可能性があります。

 しかし、「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」において、タクシー事業は地域の公共交通としての役割を担っているとして、鉄道やバスなどと同じ「公共交通機関」とみなされています。

 そのためタクシー料金は、「公共料金」として国土交通省の認可により定められており、事実、国土交通省による「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について」によって、運賃と料金の種類から適用順位、割引の適用方法などが細かく決められています。

 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会のホームページを見ても、公共料金とされるタクシーの運賃と料金は、原則公共交通機関の監督官庁の長である国土交通大臣に対して申請をおこない、かつ認可を受けなければならず、したがって認可されていない料金で運行するなどした場合は、法律違反に該当することとなります。

 タクシーでの値引き行為について、大阪にある大手タクシー会社である株式会社未来都の担当者は以下のように話します。

「タクシーでの値引き行為は、道路運送法第10条で決められており、法律で禁止されています。そのため基本的にメーター運賃でお客さまにお支払いいただくようお願いしています」

 一方で、タクシー業界の関係者は以下のように話します。

「本来ではタクシーでの値引き行為は法律違反になりますが、現実問題ではワンメーター80円について値引いてくれといった声や、運転手の迂回や不手際によって対応が変わる場合が多いという声を聞きます。

 とくに、泥酔している人を乗せる機会が多い夜間には、値引きについていわれることが多いようです」

■タクシーの値引きなど、実際に道路運送法違反で処罰されたケースは?

 鉄道などの公共交通機関と同じ立ち位置にあるタクシー事業の運賃や料金は、国土交通省の査定および認可を受けることで適正な価格となるよう規制されています。

 そのため、タクシーの運転手が定められた料金の支払いを乗客に求めることは、適正なタクシー事業の運営のためにも、法令遵守のためにも必要不可欠な行為といえるでしょう。

 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会のホームページにも「運行途中でタクシーメーターを停止し運賃を値引きすることや、定められた料金(迎車、時間指定など)をお客様から頂かないことは法令違反となります」とあることからも、法令違反につながってしまうタクシー運賃や料金の値引き交渉にタクシー事業者が苦慮している可能性がうかがえます。

 実際にタクシー会社やタクシー乗務員が勝手に乗車料金の値引きをおこなった場合、道路運送法第10条(運賃又は料金の割戻しの禁止)で「一般旅客自動車運送事業者は、旅客に対し、収受した運賃又は料金の割戻しをしてはならない」とあるのに違反したとみなされて営業停止などの厳しい処分が下される場合があります。

酔った際でもタクシー料金の「値引き交渉」はNG! 酔った際でもタクシー料金の「値引き交渉」はNG!

 例えば、2008年には「居酒屋タクシー」が大きく話題になりました。

 この居酒屋タクシーとは、現金・金券類やビールなどの飲食物を乗客に提供していたタクシーのことを指し、当時利用していた公務員が違法行為に問われるなどして、ニュースや新聞にも取り上げられました。

 この居酒屋タクシーのケースは、最終的に乗客だった公務員の一部に対して文書厳重注意の処分などがおこなわれたほか、タクシー事業者も道路運送法第10条に規定されている運賃の割戻禁止規定に抵触したとみなされて、営業停止などの厳しい行政処分を下される結果となっています。

 居酒屋タクシーのようなケースは珍しいかもしれませんが、例えば、乗客からの値引き交渉に対して、つい善意で応じて料金を値引いてしまったような場合でも、そのタクシードライバーやタクシー会社が道路運送法違反による行政処罰を受けてしまう可能性は否定できません。

 また、実際に料金が値引かれることはなかったとしても、交渉すること自体がタクシードライバーに対して法令違反を強要することにつながりかねず、例えそのようなつもりはないとしても、タクシーを利用する際にはそのことに十分留意する必要があるといえるでしょう。

※ ※ ※

 公共交通機関のひとつとみなされているタクシーの運賃や料金は「公共料金」であり、したがって国土交通省の許可なく料金を変更することは道路運送法違反に該当する可能性が高いです。

 そのため、タクシーの値引き交渉はおこなうべきではないでしょう。

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