なぜ6年連続で全国1位に? 「信号機のない横断歩道での一時停止」調査の結果で長野県が優秀な理由とは
くるまのニュース / 2023年4月26日 9時10分
JAFが毎年全国でおこなっている「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」によると、2022年は長野県が停止率82.9%で全国1位となり、2位の兵庫県の停止率64.7%と比較しても18.2%高い結果となりました。
■歩行者の“お礼”が安全のカギ?
毎年JAFが各都道府県で実施している「信号機のない横断歩道」でのクルマの一時停止率調査では、調査を開始した2016年以来ずっと長野県が停止率全国1位を誇っています。
では、なぜ長野県はクルマの停止率が優秀なのでしょうか。
JAFが毎年全国でおこなっている「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」によると、2022年は長野県が停止率82.9%で全国1位となり、2位の兵庫県の停止率64.7%と比較しても18.2%高い結果となりました。
長野県はJAFがこの調査を開始した2016年以来ずっと全国一に輝いていますが、なぜ高い停止率を誇るのでしょうか。
SNS上においても、「長野では信号機のない横断歩道を渡ろうとするとクルマがほぼ100%止まってくれる」、「引っ越しで長野県に来たけど、横断歩道でほとんどのクルマが止まってくれると感じる」といった声が多く寄せられており、実際に住んでいる人も停止率の高さを実感しているといえます。
長野県でクルマの停止率が高い理由として、まず県民の習慣として根付いているということが考えられます。
長野県では子どもの頃から、横断歩道で止まってくれたクルマのドライバーに対してお礼をするように指導しているケースがあり、実際の場面でも歩行者が横断歩道を渡っている最中や渡り終えた後にしっかりとハンドサイン、お辞儀などをしている様子が見られます。
歩行者がいるときに横断歩道の前で一時停止するのはドライバーの義務であるとはいえ、道を譲った歩行者からお礼をされれば悪い気分になる人はいないでしょう。
そして次もきちんと止まろうという気持ちが生まれる可能性があります。
また、お礼をするように指導されていた子どもたちが大人になりクルマの運転を始めると、同じように歩行者に道を譲るようになることが想定されます。
このように、クルマのドライバーも歩行者もお互いに気持ち良く通行するようになった結果、全国一の停止率につながったのかもしれません。
■さらなる秘策も? 長野県が全国一の停止率のワケ
さらに、長野県では長野県警が独自で開発した「外周発光装置付き横断歩道標識」と呼ばれる道路標識を2013年から本格導入し、県内の通学路などを中心に設置しています。
この横断歩道標識は通常のタイプと異なり、標識のまわりに取り付けられた小型のLEDライトが点滅することで夜間でも横断歩道があることをドライバーに知らせる効果があります。
2015年に信州大学がこの道路標識の導入効果について調査・分析した論文では、横断歩道の端に歩行者がいる場合のクルマの停止率が設置前と比較して約3倍に増加したほか、横断歩道を渡る歩行者の意識調査においても、発光式の道路標識を設置することによって安全性が高まったと感じる結果となりました。
このような道路設備を工夫することも停止率の高さに影響している可能性があります。
「外周発光装置付き横断歩道標識」(画像引用:「外周発光装置付き横断歩道標識」より)
そのほか、JAFが毎年信号機のない横断歩道でのクルマの停止率を調査していることも少なからず関係しているといえるでしょう。
長野県の停止率は、実はこの調査が始まった2016年時点は48.3%でしたが、2017年に64.2%、2018年に58.6%、2019年に68.6%、2020年に72.4%、2021年に85.2%と増加傾向になっていることから、調査結果が公表されることで県民の意識がより上がったと考えられます。
各都道府県の結果が公表されるようになった2018年時点で停止率が0.9%とワースト1位だった栃木県についても、この結果を受けて広報活動や取り締まりを強化したところ、2022年の停止率は44.9%と大幅に増加しており、停止率がランク付けされることもドライバーの意識に大きく影響するといえます。
※ ※ ※
信号機のない横断歩道に歩行者がいるときのクルマの一時停止率について、長野県が突出して高いのは県民の習慣として身についていることや道路標識の整備、JAFの調査結果を受けて意識が高まったことなどが挙げられます。
横断歩道前で止まったクルマに歩行者がお礼をすることに関して、「クルマの義務なのだからお礼は不要」という声も聞かれますが、お互いに気持ち良く通行できることが交通安全の大切なポイントなのかもしれません。
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