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時代の先端を切り拓いた「コナミ」のファミコン音楽 作り手の「執念」すら感じるサウンド史

マグミクス / 2023年11月15日 12時10分

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■ファミコンで際立っていたコナミサウンド

 1983年に発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)が大ブームとなるなか、サウンドに力を入れたゲームも数多く発売されました。技術面から見ると、当初のファミコンゲームで使える音は、主にメロディを担当する矩形波がふたつにベースラインを担当する三角派がひとつ。そして主に効果音に使われていたホワイトノイズの、合計4つしかありませんでした。

 それでも当時のクリエイターは工夫を凝らし、数々の名曲を練り上げてきました。なかでも特に優れた曲を数多く送り出してきたメーカーのひとつがコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)です。2023年11月15日に、コナミのファミコンゲーム44タイトルのサウンドを収録したCD-BOX「ミュージック フロム コナミアンティークス ~ファミリーコンピュータ~」が発売されるのにちなんで、時代の最先端を切り拓いたコナミのファミコンサウンドを振り返ります。

* * *

 1985年4月に『イー・アル・カンフー』と『けっきょく南極大冒険』でファミコンに参入したコナミは、参入2年目となる1986年以降に、その優れたサウンドが高く評価されるゲームを次々と送り出し、本領を発揮し始めていました。

 1986年に発売されたタイトルだけでも『ツインビー』『グーニーズ』『がんばれゴエモン!からくり道中』など枚挙にいとまがありませんが、なかでも同年4月に発売された『グラディウス』は、当時のファミコンタイトルとしてはグラフィック・ゲーム性・サウンドの3つが珠玉のレベルに達しており、極めて印象深いタイトルとなっています。

 また、1986年は「ディスクシステム」が登場した年でもありました。ディスクシステムには「波形メモリ音源」という拡張音源が搭載されており、より丸みを帯びた柔らかい音を表現できるようになったのです。このディスクシステムでも、コナミは『悪魔城ドラキュラ』という名作を送り出していますが、特にステージ1のBGMである「VAMPIRE KILLER」は、その後のシリーズ作でもアレンジを施されながら使用されており、多くの人の心を虜(とりこ)にし続けています。

 ディスクシステムでは他にも『エスパードリーム』や『愛戦士ニコル』、『グリーンベレー』『迷宮寺院ダババ』『ドラキュラII 呪いの封印』など、名曲ぞろいのタイトルが次々と登場しており、当時のコナミがサウンドにつぎ込んでいたエネルギー量のすさまじさを物語っています。

 蛇足ではありますが、当時のコナミは家庭用パソコン「MSX」向けに専用の音源「SCC」を開発するほどサウンドに力を入れていました。まだゲームサウンドを「ピコピコ」などと言って揶揄(やゆ)する人が多かった時代に、絶えず最先端を走ってサウンドの価値を高めようとしていたのがコナミだったのです。

■独自の音源チップをカセットに組み込む徹底ぶり

手塚治虫作品を原作としたアクションゲーム『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』のカセット(マグミクス編集部撮影)

 1987年に入ってもコナミサウンドの勢いは止まりません。『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』や『月風魔伝』『魔城伝説II 大魔司教ガリウス』など、名曲ぞろいのタイトルが続々と登場します。『グラディウス』の続編である『沙羅曼蛇』も発売されましたが、本当に4音で構成されているのか疑わしいほど、はるかにグレードアップしたサウンドに聞きほれた方も多かったのではないでしょうか。

 さらに1988年には『コナミワイワイワールド』『魂斗羅』など、今なお高いクオリティのサウンドが評価されているタイトルが続々と登場しています。特に『グラディウスII』は、ファミコンの性能限界を超えたレベルの移植がアーケード版から行われており、サウンドも非常にクオリティの高い仕上がりとなっていました。

 もちろん、ゲーム開発の工夫と熟練だけでは限界があるのもまた事実です。1980年代後半に入ると複数のメーカーでファミコンカセットに追加音源を搭載する試みが行われており、コナミも同時に6つ音が鳴らせる独自の音源「VRC VI」を開発し、究極のファミコンサウンド実現へとまい進していたのです。

「VRC VI」が使用されたタイトルは『悪魔城伝説』『魍魎戦記MADARA』『エスパードリーム2 新たなる戦い』の3つです。特に『悪魔城伝説』の最初の教会・町・墓場ステージで流れる「Beginning」や『魍魎戦記MADARA』の後半フィールド曲「MA・DA・RA」は、極めて評価が高い名曲として知られています。

 そして1991年にはFM音源を搭載した「VRC VII」も登場しましたが、この時期にはすでにスーパーファミコンをはじめとする16ビットゲーム機にユーザーの興味が移っていたため、ファミコンでは『ラグランジュポイント』のみに使用されました。なお、『ラグランジュポイント』のサウンドが奏でるBGMは、作り手の執念すら感じるほどの深みに満ちており、ファミコンのコナミサウンドが紡ぎあげてきた歴史の輝きを感じることができるでしょう。

 ファミコンブームのなかでプレイヤーを魅了した数々のコナミサウンドは、きっといま聞いても、あなたの心を揺さぶる力に満ちあふれているに違いありません。

(早川清一朗)

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