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病院は潰せ! SFC『シムシティー』効率と理想の狭間で葛藤する街づくり「あるある」

マグミクス / 2024年3月23日 7時10分

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■徹底した効率化こそが目標への早道

 30年以上の歴史を重ねる「シムシティ」シリーズは、プレイヤーが市長となり住宅地や警察署などを建設し街を造っていくゲームです。最初の出会いはスーパーファミコン(SFC)版『シムシティー』(SFC版は最後が音引き)だという方も多いと思います。

 この画期的なゲームで、理想の都市を造ろうとすると、目的である「50万人都市」に到達することは難しく、徹底した効率化が必要でした。当時、『シムシティー』初心者が葛藤した、理想と現実の都市づくりを振り返りたいと思います。

●マップ選びで詰む「50万人都市」への夢…

 SFC版『シムシティー』の目的は、市長となり人口50万人都市(メガロポリス)を目指すことで、さらにその上の60万人都市になると最大の賛辞を受けます。

 ゲーム開始時には、さまざまな形のマップからひとつを選択し、そこに都市を造っていきます。海が多いマップや中央に川が流れているマップなど、多様に数多く用意されていました。

 実はこのマップ選びが最初の罠で、とにかく施設がたくさん建設できる陸地の多いマップを選択しないと、いずれ詰んでしまいます。「リアルで住んでいる街並みを造りたい」「好きな都市を再現したい」と意図して、それに近いマップを選ぶという悠長な考えでは市長失格、そのうち行き詰まってしまうのです。

 メガロポリスを目指す険しい道のりには、なにはなくとも効率、1マスでも陸地の多いマップの選択が求められました。

●人が住まない消防署はいらない…出火したら「破壊消防」

 建造できる「施設(ユニット)」で、最重要なのは「住宅地」「商業地」「工業地」であり、これらに人が住んでいきます。並べて建設すると2マスの住宅地が合体しマンションになったり、商業地はビルになったりし、住人も多くなるためマップ中央にまとめて建設していきます。

 しかし工業地だけは、公害が出て周囲の地価を下げてしまうため、マップの端に造るのが良いとされています。このため、住商工3つのエリアが完全に分かたれ一見、整理された綺麗な都市に見えたとしても、端に追いやられた工業地に住む住人を思うと、一抹の寂しさや申し訳なさを感じてしまいます。

 ほかにも施設には、治安を守る「警察署」や火事を抑える「消防署」など、住民こそいないものの建設すれば働きが期待できるものがあります。しかも、警察署を数件建てるとボーナスとして「強力な警察署」が建設できるようになり、これを建設すれば地価が上がり治安も向上するので、効率的に配置したいところです。

 しかし消防署については、こちらも上位の施設である「強力な消防署」こそ用意されているものの、出火したらプレイヤーが手動で周囲の建造物を壊し延焼を防ぐという、江戸時代のいわゆる「火消し」のような「破壊消防」で対策できるので、必要としません。極端に言えば、消防署がひとつもない都市でも問題ないのです。

 住人のためにも消防署を建ててあげたいと思うところですが、人が住まず、維持費もかかる消防署に1マス費やすのは、もったいないというプレイイングです。

■道路も学校も病院も潰せ…!?

作者のウィル・ライト氏は『バンゲリングベイ』も手掛けたゲームクリエイター。画像はコンプコレクション『ウィル・ライトが明かすシムシティーのすべて』(KADOKAWA)

●メガロポリスのためなら車も学校も病院もいらない「人を住まわせるだけの都市」づくり

 プレイ当初は、理想の都市を目指し、道路をマップ中央に走らせたり、商業地の中にスタジアムを建設したり、安心安全な街を目指すべく警察署や消防署をたくさん建設したりしますが、これではシムシティー内での優良市長にはなれません。いかにメタに人口を増やすかが必要で、冷徹に徹底した効率重視の街づくりが求められます。

 たとえば「道路」を造れば住人から「渋滞している」の苦情が寄せられ、人口増加の足を引っ張るため、「100%鉄道都市」にします。また住人のリクエストでスタジアムなどを建設しなければならない状況が発生しても、建ててしまえば電気も交通も通さなくて問題ないようなので、マップの端っこに配置するというのも手段のひとつです。

 また住宅地を造成していると、ランダムで学校や病院が勝手に建ちます。普通の都市なら言わずもがなで必須な施設ですが、これらは住人がゼロなので『シムシティー』にはいりません。問答無用で潰し、改めて住宅地を造るという冷徹な采配が必要です。

●行き詰ったら神の手……都市破壊でストレス解放

 メガロポリスに到達させようとすると途端に難易度が高くなるこのゲームにおいては、上記のような徹底した効率化を試みても50万人都市に届かず、空き地もなくなり住宅地が造れず手詰まりになることもしばしばです。

 そのようなときプレイヤーによっては、癇癪のような破壊衝動に苛まれることもあるでしょう。市長自身が「もうどうにでもなれ……」と「災害スイッチ」をポンと押せば、あらゆる災害を巻き起こせてしまいます。なかには「怪獣」というのもあり、『スーパーマリオブラザーズ』のクッパのようなキャラクターが出現し都市を踏み荒らし破壊していき、火災も発生、停電もおこり阿鼻叫喚となります。しかも一度出現させると制御不能で、勝手にいなくなるまで放置するしかありません。

 自分で造り上げた都市が焦土と化していくさまは儚さ虚しさがある一方で、そこはかとなくストレスの解放も感じます。

* * *

 と、ここまで書きましたが、道路を造ろうが、消防署を建てようがメガロポリスに到達するという上級プレイヤーもいたことでしょう。

 また、大都市を目指さなくても、自由に街を造れるのが楽しかった斬新なゲームが『シムシティー』でした。

(南城与右衛門)

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