「考えさせられる」「グロはないけどトラウマ」 記憶にこびりつくアニメ映画3選
マグミクス / 2024年4月8日 20時10分
■核の恐ろしさに気付かない老夫婦
普段なにげなく鑑賞しているアニメ映画も、子供向けから大人向けまでさまざまなジャンルが存在します。なかには暗いテーマを扱い、トラウマレベルの場面を描いている作品もありました。今回はそんな、恐ろしいけどどこか考えさせられるアニメ映画を振り返りましょう。
●『風が吹くとき』
1982年にイギリスの作家レイモンド・ブリッグズ氏が発表したマンガ『風が吹くとき』は、1986年に長編アニメーションとして映画化されています。
平凡な老夫婦を主人公に、核戦争が勃発した世界で彼らが放射能にむしばまれていくさまを描いた物語です。かわいらしい絵のタッチとは裏腹に、「核の怖さ」や「戦争」などの重々しいテーマを取り扱っています。
作中、目を背けたくなるような激しい描写はないものの、老夫婦が放射能によって体調を崩すシーンが淡々と描かれる、じわじわと恐ろしい映画です。
彼らは事前に準備を始めていたものの、予想より早く飛来してきた核爆弾のせいで、頭痛や、吐き気、下痢などの症状が出てしまいます。しかし、老夫婦は「きっとじきに良くなるだろう」「助けが来るだろう」とどこか楽観的で、体に起きる異変をそのままに生活するのでした。
自主的に観た人だけでなく、昔学校で観させられたという人も多いようで、「強烈なシーンはないけど、じわじわとメンタルやられる」「まさかあの絵柄でこんなきついとは」「夫婦が衰弱していく姿は見てられなかった」といった声もあがっています。
●『映画 聲の形』
「週刊少年マガジン」に連載され発行部数累計300万部を記録したマンガ『聲の形』(原作:大今良時)は、京都アニメーションによってアニメ映画化されました。評価の高い映画ですが、作中ではいじめのシーンがリアルに描かれているあまり、胸糞悪いという意見も多々あります。
ある日、主人公の石田将也の通う小学校に、耳に障害のある西宮硝子が転校してきます。硝子はクラスメイトと上手くコミュニケーションがとれず、将也を中心に同級生からいじめを受けるようになってしまいました。
そして、いじめが学校内で発覚すると、硝子は再び転校してしまいます。その後、将也は「硝子をいじめた加害者」として、逆にクラスメイトからいじめられるのでした。
その後、心を閉ざしたまま高校生になった将也が、硝子との再会をきっかけに過去と向き合うというのが本作のおおまかな流れです。
作中では、硝子の補聴器が何度も壊されたり、ゴミを投げつけたりと生々しいいじめの描写がたびたび登場します。ネット上では「自分の小学生時代を思い出して辛かった」「作品としては良いけど、胸糞悪かった」といった声があがっており、自身のトラウマを思い出す人も多かったようです。
いじめシーンの他にも、将也をいじめていた元クラスメイトと再会した時のなんともいえない気まずさや、硝子を周囲の大人たちが特別扱いしてしまったがゆえに、彼女がクラス内で浮いた存在になるなど、観ていて心が痛む場面がありました。
それだけ人の心を揺さぶるのも本作が優れていることの証で、さらに高校生になった硝子と将也の心理描写や京都アニメーションによる作画の美しさも好評を得ています。
■夢と現実が混ざり混沌としたトラウマシーンとは?
●『パプリカ』
世界のクリエイターに影響を与えた、今敏監督による『パプリカ』ポスタービジュアル (C)2006 MADHOUSE/SONY PICTURES ENTERTAINMENT(JAPAN)INC.
『パプリカ』(原作:筒井康隆)は、2006年にアニメーターの今敏さんが監督を務め、アニメ映画化した作品です。
精神医療総合研究所の一員で心理セラピストの千葉敦子は、他人の夢を共有できる装置「DCミニ」を駆使し、神経症などに悩む患者を治療する仕事をしています。彼女は、夢の世界では別人格「パプリカ」として病気の原因を取り除いており、研究所ではなくてはならない存在でした。
本作はそんなパプリカと、DCミニを盗んで人の精神を崩壊させる犯人との攻防が見どころです。夢の描写が印象的なのはもちろんのこと、日本人形やカエル、冷蔵庫をはじめとする物体が集団で行進していく異様なシーンも忘れられないという人も多いでしょう。特にジャパニーズホラーの象徴ともいえる日本人形が、余計に不気味さを増幅させます。
「夢の気持ち悪さが鑑賞後も引きずる」「精神が侵されていくときってこんな感じだと思う」と、サイケデリックな映像で知られ、なかには自分の夢にまで影響が出てしまったという人もいたようです。
(LUIS FIELD)
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