【漫画】外出自粛中も混雑する家電量販店 コロナ対策と接客とのはざまで販売員の葛藤

■笑顔で接客も、コロナへの恐怖を募らせる販売員

　大手家電量販店の携帯電話販売員をしている女性。緊急事態宣言後も通常通りのシフトで勤務しています。最近は自粛ムードが緩み、ゴールデンウィークに入ると客足は日に日に増えて店内は家族連れで遊園地状態に。

　朝から晩まで少ない人員で対応するなか、さまざまなお客様が訪れます。接客に忙しく、店内や自分自身の消毒が追いつきません。コロナ感染への恐怖を募らせ、大勢の来客に疑問を感じつつも、接客に励む日々を送っている販売員です……。

　ぴよさん（@omokage_clover）による、コロナ対策と接客とのはざまで葛藤する現場をつづった実録マンガがTwitterで公開され、大きな反響がありました。

　作者のぴよさんに、お話を聞きました。

ーーぴよさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

　子供の頃から病気がちで、病室でできる遊びが絵を描くことだったので、マンガも自然と描くようになりました。

ーー『家電量販店、携帯販売の現場からです。』のマンガを描かれた際は、どのようなお気持ちでしたか？　また、どのような思いでこのマンガを公開されましたか？

　緊急事態宣言前後から、今回のマンガのモデルになっている彼女から仕事の愚痴をよく聞くようになり、少しでも慰めになればという気持ちで「Twitterに描いて載せようか？」と言いました。最初は軽い気持ちで言ったのですが、実際にマンガにするために掘り下げて話を聞いていくうちに、いつも聞いている「彼女から僕へ」ではなく、「彼女から普段言えないお客さんたちへ」の言葉にどんどん変わっていきました。

　この子はこんなに誰かに伝えたい気持ちを持っていて、それを形にすることができずにため込んでいたんだと気が付き、「あ、これは描かなくちゃダメだ、誰かに伝えないといけないやつだ」と思い、慌てて描いて公開に至りました。

　僕と彼女はたまたま「マンガを描いて人に伝える」という手段を持っていましたが、そうでない人もたくさんいると思います。伝える手段を持たず、彼女と同じつらい思いをし続けている人のことを思うと、今回のマンガがそういった方たちの代弁に少しでもなれば、という気持ちです。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　家電量販店に限らず、「自分も同じ状況です」という方が本当に多かったです。カー用品店やメガネ屋さんまで同じ状況と聞いたときにはびっくりしました。また、「家電量販店や携帯電話コーナーがこんなにひどい状況なんて初めて知った」と言ってくださる方も何人もいました。「これはひどい」と感じる人が多くいるような状況に、「うちも同じです」と共感をくれる方がたくさんいるというのはやっぱりまずいよなぁと思わずにはいられませんでした。

ーー作品の反響について、マンガのモデルになった女性からの反応はありましたか？

　彼女からは次のようなコメントをもらっています。「たくさんのコメントをいただきありがとうございます。さまざまな角度からのご意見に身が引き締まる思いです。会社全体で感染を予防する作業はできますが、完璧に防ぐことはできません。3密がそろう場所には常に感染のリスクが伴ってしまいます。ご自身とご家族の安全のためにも、外出される際には本当に急を要する用事なのか、このマンガを読んでいただいたことをきっかけにご一考いただければと思います……！」

ぴよさんの飼い猫のことを描いたマンガ（ぴよさん提供）

ーーぴよさんは最近Twitterで猫のマンガを描き始められましたが、猫のマンガを描こうと思ったきっかけを教えて下さい。

「家で飼っている猫のマンガを描きたい」と本当はずっと思っていたのですが、社会人になってからなんとなく絵というものをしっかり描けずにいました。ですが今回彼女の実録マンガをたくさんの方に見ていただけたことで、下手くそでも描けば見てくれる人がいるんだなぁと思え、「描くなら今しかない」とペンをとった次第です。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　とりあえずは猫のマンガを1日1枚を目標にして、毎日アップしていきたいと思っています。頑張ります！

（マグミクス編集部）