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『マリーのアトリエ』恋愛要素なし、調合を楽しむ!「世界を救うのはもうやめた」

マグミクス / 2020年5月23日 14時50分

『マリーのアトリエ』恋愛要素なし、調合を楽しむ!「世界を救うのはもうやめた」

■桜瀬琥姫さんのイラストに惹かれて購入

 1997年5月23日にガストから発売されたプレイステーション用ソフト『マリーのアトリエ~ザールブルグの錬金術士~』(以下、マリーのアトリエ)は、世界を救うストーリーが多かったファンタジー世界の中で、日常生活とアイテムの調合をメインで取り扱い、高い人気を獲得しました。桜瀬琥姫さんのイラストに惹かれて当時バイトしていたコンビニで購入し、ドはまりしてその後のシリーズもプレイし続けているライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

* * *

 最初に雑誌で『マリーのアトリエ』の特集を読んだとき、内容には今一つピンときませんでしたが、桜瀬琥姫(おうせこひめ)さんが描いたキャラクターを見て、即購入を決断しました。筆者は桜瀬琥姫さんのファンだったのです。

 桜瀬琥姫さんは主に新声社の『ゲーメスト』や『コミックゲーメスト』などで活躍されていた方で、後に「ウルトラジャンプ」で『HEART SUGAR TOWN』、「コミックガム」で『GRANDEEK』を連載していました。最近はあまり見かけなくなっていたのでどうしているのだろうと思っていたのですが、2019年末に発売されたとある同人誌に寄稿されていたので、活動を続けておられるのが分かってホっとしております。

 それはさておき、当時、ファンタジー世界のゲームと言えば、魔王を倒し世界を救うのが定番のストーリーでした。筆者も一体何人の魔王を倒し、幾つの世界を救ったのか覚えていないくらいです。

 そんな状況だったので、『マリーのアトリエ』のキャッチコピー「世界を救うのはもうやめた」にはどこか惹かれるものがありました。今でこそファンタジー世界の日常を取り扱う作品は無数に存在しますが、当時はほとんど存在しなかったのです。

 アルバイトをしていたコンビニで発売日に『マリーのアトリエ』を購入した筆者は、ほんわかしたタッチで描かれるファンタジー世界での冒険と調合、そして他のキャラクターとの交流の中で生まれるストーリーにガッチリ心をつかまれてしまいます。そのとき筆者は、「ああ、こんな世界で暮らしてみたいな」という、憧れの念を抱いていたような気もするのです。

■調合の面白さを世に知らしめた

著:越智善彦『マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士』 新装版・上(エンターブレイン)

 主人公のマリーことマルローネは落ちこぼれの錬金術師で、5年以内に高レベルのアイテムを作れなければ学校を卒業できないと先生のイングリドに通告され、街中にお店を開いて依頼を受けて、お金を稼ぎつつ腕を磨いていきます。さまざまなアイテムを集めて来ては調合し、よりハイレベルなアイテムを作り出していく楽しさは、今までに味わったことのない格別のものでした。

 危険地域でしか手に入らないアイテムを採取するためにモンスターと戦う必要もありますが、仲間を集め、レベルを上げればそれほど苦労するものではありませんでした。それまでのゲームではモンスターの討伐が主眼であったところを、アイテムの採取と調合をメインに据えていることがこのことからもわかります。

 シナリオの自由度も極めて高く、親友であるシアの治療イベントなどの一部ストーリーをのぞけば、基本的には調合をしていようが冒険に出ていようが何をしていてもかまわないのも、「ああ、マリーはこの世界で生活しているただの人間なのだ」と強く感じさせてくれたように思います。

 また、恋愛要素がほぼないのも、『マリーのアトリエ』の特徴です。一応マリーに想いを寄せるキャラとして、クライスというキャラも登場するのですがさっぱり進展しません。そのためか、本作と続編『エリーのアトリエ』の後日譚である越智善彦先生の著作『マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士』ではマリーは独身のまま三十路を迎えてしまっています。らしいといえばらしい気もしますが。

 そして何よりも本作を名作たらしめたのが、マリーの声優を務めた池澤春菜さんの愛らしい演技です。特に「た~る?」の破壊力はすさまじいのひと言。今でも耳の奥に残って離れません。

 しかし実は、筆者が一番好きだったのはイングリド先生でした。当時、30歳の女性キャラを堂々と出してきた作品というのはかなり珍しかったように思います。次作『エリーのアトリエ』では35歳、アトリエシリーズ第3作の『リリーのアトリエ』ではまさかの少女時代が描かれており、「この世界の人たちは生きていて歳をとる。過去も未来も存在しているんだ」ということを教えてくれた、より世界に深みをもたらす存在だったようにも思えるのです。

(早川清一朗)

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