恋愛ゲーム『キミキス』 予想以上に“リアル“なコミュニケーションが甘酸っぱい…
マグミクス / 2020年5月25日 19時40分
■意味深なキャッチコピー『キミキス』
「キス…でしか伝わらない想い…」
気の利いたひと言よりも、そっと唇を重ねた方が伝わりやすい真意もある。筆者が意味深なキャッチコピーを擁する『キミキス』と出会ったのは、今から14年前の初夏でした。
2006年5月にリリースされた本作は、プレイステーション2(以下PS2)用の恋愛シミュレーションゲーム(以下恋愛SLG)です。プレイヤーの分身となるのは、特に浮いた話もなく夏休みを終えてしまった高校2年生の「相原光一」(デフォルト名)。彼は1か月後に迫った輝日南高校の学園祭を女の子と一緒に過ごすべく、本腰を入れて恋愛活動に乗り出します。
特徴的なのは現実味あふれる登場人物。メインを飾る「星乃結美」(CV:小清水亜美)をはじめ、流行に敏感な幼馴染「水澤摩央」(CV:池澤春菜)、人懐っこくてうどん好きの後輩「里仲なるみ」(CV:水橋かおり)など、恋愛ゲーム初心者でも親しみやすいキャラクターが肩を並べます。
現実世界にいても違和感がなく、素朴ながらも心を引き寄せられるキャラクターデザインは、イラストレーター「高山箕犀」氏によるもの。また、本作には1996年に始動した「トゥルー・ラブストーリー」シリーズの開発スタッフも関わっており、後の『アマガミ』や『フォトカノ』といった作品が誕生する契機となりました。
■難しくも心地よいマッチング会話システム
ヒロインたちと仲良くなるには、まず距離感を縮めて好感度を上げなければいけません。挨拶から始まり、ひと言ふた言交わす間柄から友人へ。そして友人から気の置けない仲へと深まり、やがてお互いを意識し合うように……と、現実でも恋愛SLGでも段階を踏むのは重要です。その点、本作に実装されていた「マッチング会話」システムは、イベント時の選択肢ではなく、普段の日常会話を軸にとらえた画期的な試みでした。
マッチング会話のポイントは、女の子の興味関心に即した適切な話題選びにあります。授業間の小休憩やお昼休み、放課後といった空き時間を狙って校内の各スポットを訪れる。運が良ければ、その場に居合わせたヒロインと会話を楽しめますが、これがなかなか難しい。というのも、出会ったばかりの頃はヒロインの好みが分からないため、自身の内に秘めた知識を絞り出して会話を進めなければならないのです。
同様に「女の子だからトレンドの話題は鉄板!」という先入観は、本作において足元をすくわれる原因となります。最初は当たり障りのない話題から展開し、徐々に話を変えながら相手の好みや内面を探る。この辺りの難しさは、まさに現実のコミュニケーションそのものと言ってもよいでしょう。
加えて、マッチング会話が発見と驚きに満ちていたのも外せない魅力のひとつ。例えば明朗快活でサッカーに明け暮れるスポーツ少女「咲野明日夏」(CV:広橋涼)の場合、運動や部活の話題を振ると好感度ゲージが上昇する一方、あまり親しくないのにファッションやメイクといった外見に関わる話題を選ぶと、テンションが下がってしまいます。そうかと思えば、勉強を苦手とする反面、サッカー関連でイタリア語に強く興味を示すなど、会話を通して意外な一面を垣間見ることができました。
こうして全体を振り返ると、マッチング会話システムは、おおむね快適とは言えない作りだったのも事実です。お目当てのヒロインと必ず出会えるとは限らない。運良く出会えたからと言って、そもそも会話に応じてくれるかも分からない。そして仕様上、会話が100%上手くいくかは保証されていない。だからこそハードルを超えて会話を弾ませ、甘酸っぱいイベントを経て告白に成功した際の嬉しさは思わずガッツポーズもの。何気ない日常のひと時にヒロインと1対1で向き合い、自発的に話題を取捨選択するコミュニケーションは、予想以上にリアルな仕上がりでした。
ところが惜しいことに、『キミキス』は発売元が同じPS2用ソフト『アマガミ』とは違い、携帯ゲーム機や家庭用ゲーム機へ未だに移植されていないのです。現在も続くエンターブレイン(現・角川ゲームス)産恋愛SLGの礎を築いたと言っても過言ではない本作が、いつの日か、何らかの形で帰ってくることを願ってやみません。
(龍田優貴)
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