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『エースをねらえ!』宗方コーチの名言6選。今もオトナ世代の背中を押してくれる…?

マグミクス / 2021年4月25日 14時50分

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■現代に通じる! 心を奮い立たせる宗方仁の名言

 『エースをねらえ!』は、1970年代に『週刊マーガレット』に連載されたマンガで、高校生の岡ひろみが宗方仁コーチのもと、テニスを通して成長していく物語です。テニスブームを巻き起こし、アニメ化、テレビドラマ化もされました。

 超高校級プレイヤー、竜崎麗香(=お蝶夫人)のプレイに憧れてテニス部に入部した岡ひろみは、親友の牧といっしょにテニスを楽しんでいました。ところが、ひろみの可能性を見出した宗方コーチは、彼女を大会の代表選手に抜擢。それがもとで先輩たちからもひどいバッシングを受けたひろみは悩み、テニス部を去ろうとします。

 しかし、憧れのお蝶夫人の厳しくも愛情ある指導や、男子テニス部の先輩、藤堂の優しさに救われ、宗方コーチのしごきに耐えながら、驚くほどのスピードでトッププレイヤーへと成長していきます。

 宗方仁は、もともとは将来を嘱望されたテニスプレイヤーでしたが、22歳の時、練習中に倒れたことで病気が発覚し、再起不能を宣言されたのです。そして、コーチとして世界に通用する一流プレイヤーの育成を目指し、テニスの名門校のコーチに就任し、そこで岡ひろみに出会いました。しごきに耐え、ひろみにプレイヤーとしての自覚や自信が育つうちに、ひろみと宗方コーチの間には絶対的な信頼関係が生まれ、師弟愛は深まっていったのです。

 宗方仁の、師として、男としての名言から選りすぐりの5つをご紹介します。

 まずは、ビジネスにも通用する、名言をふたつ。

●「コートではだれでもひとりだ。いままでの練習だけが、おまえをささえる」

 大抜擢でレギュラーに選ばれたものの、ほかのメンバーとの力の差や冷たい視線を痛いほど感じ、前を向けないひろみ。地区大会の決勝では、お蝶夫人のストレート勝ちを目にしてますます自信喪失してしまい、試合に出たくないと宗方コーチに訴えた時の答えが、このセリフです。

 これはテニスのシーンでのセリフではありますが、「コート」の部分を仕事の場に変換すると、プレゼンに向かうビジネスマン、学会発表に向かう研究者など、大人を支え、鼓舞する言葉としてもぐっと胸にきます。

●「ここまでだと思ったとき、もう1歩ねばれ!」

 初めは自分をレギュラーに抜擢し、しごく宗方コーチを怖れ、恨んだひろみでしたが、上達とともにテニスへの愛が深まり、コーチへの信頼感や師として慕う気持ちも大きくなります。宗方コーチとひろみ、師弟の絆はより強くなり、宗方コーチのひとつひとつの言葉が彼女の心も成長させるのでした。

 このセリフは、全日本ジュニア1次メンバーに選ばれたひろみが、あと1回勝てば2次メンバーに残れるという試合で、第1セットを取ったものの同じプレイスタイルの相手とどう戦えばいいか、宗方コーチに聞いたときの答えです。この言葉を信じ、激闘を制したひろみを宗方コーチは優しい微笑みで迎えるのでした。

 作中では、このセリフの後に「それで勝てないような訓練はしてない」と続きます。セリフ自体は非常にシンプルで、粘りや根性の大切さを的確に表していますが、そのために自らを鍛え、磨くことがいかに大切かも教えてくれています。

 続いては、恋愛に関する熱く、深い宗方コーチの名言をご紹介します。

●「お蘭より、お蝶より ほかのだれよりおまえをえらんだのだ。はなさない!」

 これは、藤堂への淡い恋心を抱くようになったひろみの心の変化に気づいた宗方コーチが、彼女に言ったセリフです。

 宗方コーチとひろみの間にあるのは、恋愛感情はなく強い師弟愛であることは間違いありませんが、このふたりにとってはその境界線もあいまいになるほど互いを必要とし、ともに歩んでいく運命共同体でした。だからこそ、ひろみの恋心を知った時、宗方コーチは亡き母に「どうか おれに力を!」と助けを求めるほど動揺し、「切るように悲しそう」な目でひろみを見つめたのです。

 そして、宗方コーチの覚悟と目指す先を共有したひろみは、自分の恋心に蓋をし、宗方コーチのもとでさらに厳しい練習に没頭するのでした。

 この『エースをねらえ!』は1970年代の作品ですので、まだ女性の社会進出は道半ば。どの世界でも女性がトップを目指すとなると、宗方コーチが言うように、「女であることをこえなければならない」時代でした。そしてこの時代、女子テニス界においても大きな転換期を迎えており、パワー・テニスの台頭で、女子のテニスは、プレイスタイルそのものが大きく変わろうとしており、宗方コーチはまさにそのパワー・テニスをひろみに指導していたのです。

 この一連のシーンでは、宗方コーチは前述のセリフ以外にも、ひろみに対して、「恋をしてもおぼれるな。一気にもえあがり、もえつきるような恋は、けっしてするな」「女に価値があれば男はまつ。またせるだけの女になれ」など、恋愛に関する名ゼリフを残しています。

 そして、ひろみの恋の相手である藤堂にも「おなじあいてに打ちこむ者」として語るのです。それが次の名言です。

■心に響く愛の言葉。そして、すべてを超越する魂のひと言

●「男なら女の成長をさまたげるような愛し方はするな!」

 藤堂は高校3年生にして、宗方コーチから言われたこの言葉の真の意味に気づくばかりか、その深い思いに感動し、スケールの違いを思い知ったとまで言いました。だからこそ、宗方コーチはのちにふたりの恋を認めたのでしょう。

 藤堂は、宗方コーチのこのひと言によって、人を愛するにはどれほどの覚悟が必要なものなのかを知ることになるのです。そして、ひろみを包み込み、宗方コーチ以上に彼女を支える存在になることを心に誓うのでした。

●「愛している 愛している 愛している これほど愛せるあいてにめぐりあえるとは思わなかった 生きてきてよかった!」

 アメリカでおこなわれる将来有望な高校生たちのトーナメントに出場するため、アメリカ行きを控えていたひろみですが、宗方コーチの入院を知り動揺。藤堂は、ひろみと一緒に病室を見舞い、そこで「全存在をかけて」ひろみを愛する宗方コーチの姿を見、「男であること」「師であること」を超え、「魂の底から愛している」と感じます。

 しかし同時に、なぜか宗方コーチがひろみと距離を置こうとしているようにも見え、それを疑問に思うのでした。そして、宗方コーチは、藤堂だけを病室に呼び出し、自分の過去について、そして、ひろみへの思いを話すのです。

 宗方コーチの母は父の愛人が子供を産んだ時、自分が身を引き、彼とともに実家に帰り、若くして亡くなりました。そんな母の愛を理解できなかったと言う宗方コーチでしたが、ひろみと出会い、彼女を育てるなかで、「もとめず父を愛した母の一生」も理解するに至ったと言います。そして、自分自身もまた、母と同じように、「もとめずひろみを愛して」いたと言い、このセリフへとつながります。

 去っていく宗方コーチ、託される藤堂、そして残されるひろみ……それぞれを思って心が震え、涙なくしては読めない名場面です。

●「岡、エースをねらえ!」

 渡米のため、飛行機に乗り込もうとする選手一行。あとから行くという宗方コーチの言葉を信じてタラップを進むひろみの耳に、不意に聞こえた宗方コーチの言葉が、「岡、エースをねらえ!」でした。そして、この言葉は、ちょうどその時、病院のベッドで眠るように息を引き取った宗方コーチの絶筆でもありました。男女の愛、師弟の愛、すべてを超越した魂のひと言です。

* * *

「テニスマンガの金字塔」と言われる『エースをねらえ!』には、汗、涙、友情、努力、根性というスポ根要素だけでなく、愛、青春、人生、生と死というテーマも詰まっており、数多くの名言があります。読んだことのある人は再度読み直して、未読の方は一度手にとって、心に響くひと言を探してみませんか?

(山田晃子)

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