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【千葉で地震頻発】『スロースリップ』指摘される巨大地震との関係性とは?南海トラフ地震は?専門家「時期予測は難しいが規模の範囲が以前よりわかるように」解説

MBSニュース / 2024年3月4日 16時35分

 千葉県で震度1以上の地震が2月27日からの6日間で30回以上発生。これには『スロースリップ』という現象が関係していると考えられています。 スロースリップに詳しい京都大学防災研究所の西川友章助教によりますと、スロースリップ自体は「人間が感じることができない揺れ」だということですが、これにより別の場所に“ひずみ”が生じて、小さな地震が発生するということです。 そしてスロースリップは、南海トラフ地震など巨大地震との関係性が指摘されていますが、これについては「いつ起きるかの予測は難しいが、どのくらいの規模なのかは、プレート境界のスロースリップの分布や大地震の分布がわかってきて、以前よりは規模の範囲がわかるようになってきた」と解説。地震が頻発している千葉県については「過去の事例から震度5弱くらいの大きめの地震が起こる可能性はある」と話しています。(2024年3月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎西川友章:京都大学防災研究所・助教 スロースリップと地震活動の関係を研究

――千葉・房総半島沖で検出された「スロースリップ」は、「ゆっくりすべり」とも言われていて1990年代頃からGPSを利用した研究が進んで、地震との関連が注目されています。千葉県で相次いでいる地震は、これが関係していると見てよいでしょうか。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)はい。千葉県で頻発している地震は、スロースリップが誘発しているものと考えております。千葉県で最初に確認されたのは1996年だったと思いますので、それからずっと観測が続いている状況です。

スロースリップで生まれる「ひずみ」

――プレート型地震を説明する際、海側プレートが陸プレートの下に潜り込んで、引っ張られたものが一気に戻る際に揺れる、と言います。これに対し「スロースリップ」は、海側のプレートが陸のプレートの下に潜り込んで、同じように引っ張られていくけれど、それが少しずつ戻っていくという違いです。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)スロースリップのすべりによる地面の揺れは人間が感じることはできないような大きさと言われます。

――ゆっくり戻っているなら、その後も地震は発生しないんじゃないか、と思いますが、そこに「ひずみが生まれる」といわれます、どういうことですか。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)スロースリップが起こっている領域では、ひずみは解消されるんですけれど、起こっている領域と起こっていない領域の境に、新たにひずみが溜まっていきます。そのひずみによって小さな地震が発生するということが起こります。プレートとプレートの境界がある場所では、日本全国で広くスロースリップが発生していると今では考えられております。

日本周辺のあちこちで観測 今後、千葉で地震の発生は?

――確かに日本周辺を見ると、スロースリップは東日本、関東、小笠原、西日本、南西諸島、台湾、要するにほとんどの地域で観測されています。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)そうです、これ全てプレートとプレートの境界が存在する地域です。境界ではプレートがずれ動いてますので、ひずみも常に蓄積されています。

――スロースリップと巨大地震との関連性も指摘されていて、2011年の東日本大震災地震の前にスロースリップが発生していたことがわかっています。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)東北沖地震の最後のひと押しというか、スロースリップがきっかけになったんじゃないかと考えられる、そういう研究があります。

――千葉県の辺りではスロースリップが起きていますが、このあと大きな地震が起きる可能性も考えられるということですか。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)過去の事例を見ますと、震度5弱ぐらいの地震が起こる可能性はあると考えられます。

南海トラフ地震とスロースリップの関連は?

――では、今後30年以内の発生確率が70%~80%とされる南海トラフ地震との関係はどのように考えていますか。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)南海トラフでもスロースリップが頻発しております。スロースリップが南海トラフ地震の発生域に、常にひずみを溜め続けているような状況にありますので関連はかなりあるんじゃないかというふうに研究者は考えています。

 特に地図で赤く塗られている地域の北側と南側でスロースリップが頻発しています。かなり詳細に分布がわかっています。ただし、今のところ、地震発生の時期に関しては、かなり難しいと思っています。

 スロースリップは特定時期に発生するというより、年に何回も頻発していますので、そのどれが南海トラフ地震と直接結びつくのかっていうのを見分けることは大変難しい状況にあります。

以前より『規模の範囲がわかるように』

ひずみを分散させる技術があればいいんですけれども、やはり人間が制御できるレベルではない大規模な現象なので、難しいです。

ただ、時期は難しいけれど、どのぐらいの地震の規模なのかっていうのは、プレート境界のスロースリップの分布等が詳細にわかってきていますので、以前よりは規模の範囲がわかるようになってきたと思います。

――地震の発生確率などは、数字としてよく出てくるんですが、どこまで正確に言えるものなのでしょうか。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)なかなか難しいところだとは思います。確率は、過去の経験とたくさんの仮定に基づいて計算されてますので、非常に大きな不確かさがある数字です。『誤差が大きいということを理解して』使用する必要があると思います。

30年以内の震度6弱以上の発生確率 大阪の31%は高いのか?

――そんな中、こんな数字も出ています。30年以内の震度6弱以上の発生確率です。徳島市77%、和歌山市70%、奈良市64%、神戸市48%、大阪市31%、京都市15%、大津市13%。近畿地方でもずいぶん数字に差があります。

(京都大学防災研究所 西川友章助教)特に南海トラフの海側で、南海トラフに近い方は大きな確率になっています。また、日本全国で見たら大阪の31%もかなり高い方に入ります。

確率が大きいところでは、常にそういう危険性がありますので注意する必要があります。比較的確率が小さい場所でも、まだ把握されていない活断層などが存在する可能性もありますから、常に注意を怠らないことが重要です。

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