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不幸が重なっても「次もまた不幸」とは限らない

メディアゴン / 2016年12月3日 7時50分

茂木健一郎[脳科学者]

* * *

悪いことととか、不運なことが重なると、まるで自分の人生が坂道を転がり落ちているような感覚になることがある。また、対人関係で、不快なことを言われたり、否定されたりということが続くと、自分が孤立しているような印象を持つことがある。感情が、線形の近似で未来に伸ばすのだ。

悪いこと、不運なことが重なっているように見える時にも、実際にはイベントとしてお互いに「独立事象」であることが多い。少なくとも、良いことから悪いことへの、ある分布の中で起こっている現象である。だから、不運続きでも、それが未来永劫続くとは限らない、というか、大抵続かない。

国会ではカジノ法案が審議されているようだが、ギャンブラーが、勝ち続けていて運がいいと思ったり、あるいは負け続けて運が悪いと思うのも、実際には独立事象で、勝った後は、負けることもあるし、負けた後は、勝つこともある。

【参考】なぜ民放のバラエティ番組はテレビの画面を「汚す」のか?

問題は、落ち込んでいる人は、感情に包まれていて、以上のような論理がなかなか届かないということで、だからこそ、時折、自分の人生を冷静に分析する必要がある。感情の豊かさは大切だが、論理と結びついて、初めて安定するのだ。

悩みは、時に、先の見えない暗闇だったり、底の見えない深海だったりするが、そんな時にも、自分の置かれた状況を客観的に、確率事象として分析すると、一筋の光になる。論理は冷たいのではなく、むしろ温かな感情の炎を続けるための燃料ですらあるのである。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

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