CR-Vデビューで再注目! 3列シートSUV人気のきっかけを作ったマツダCX-8をおさらい。
MotorFan / 2018年8月31日 17時20分
3列シートSUVのムーヴメントが、じわじわときている。以前から、エクストレイル、アウトランダーなど3列シートをラインナップするSUVはあった(3列シート車の設定は、純エンジン車のみ)。ここに颯爽と現れたのがマツダCX-8である。その後、レクサスRXにも3列シート車が追加され、8月30日に発表されたばかりの新型CR−Vにも3列シート車がラインナップ! 3列7人が乗車できるSUVは、着々とその存在感を広げている。 REPORT●森本太郎(MORIMOTO Taro) PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/神村 聖(KAMIMURA Tadashi)
さて、本稿の主役であるCX-8について、少々、前段の話をしよう。マツダはこれまで、MPV、プレマシー、ビアンテなど、数々のミニバンをラインナップしてきたが、いずれも生産を終了。新型モデルを開発しないことを明らかにしてきた。マツダが目指す走りはスライドドア車では実現できないというのがその理由。エモーショナルなスタイリングにとことんこだわるマツダだから、箱型のミニバンでは新しいマツダ・デザインを表現できない、という想いもあっただろう。その一方、ミニバン市場が少しずつ減少していくなか、事実上の国内専用車となるミニバンカテゴリーで、トヨタ、ホンダ、日産と勝負していくのは得策ではない、という判断もあっただろう。プレマシーは良く走るミニバンだったし、MPVは歴史あるブランドで、もったいないと感じたものだったが、いま思うとその判断は間違っていなかったのかもしれない。
マツダは、ミニバン開発を止める決断をするとともに、3列シート車を求める人への受け皿として、CX-8を用意した。ミニバンのユーザーをそんなふうに都合良く誘導できるのかな? とも感じたものだが、当時のCX-8開発陣のみならず、新型CR-Vの開発関係者までもが、次のように語っている。「ミニバンの広さが必ずしも必要ではなくなった方、とくに女性や奥様方から“生活感のある箱型ミニバンはちょっと”という声が聞かれるのは事実です。3列シートSUVに需要があることは間違いありません」。SUVは現在人気ナンバーワンカテゴリーであり、そのバリエーションのひとつとして、3列シート車にいま注目が集まっているのは本当のようだ。ではなぜ、あらためてCX-8に注目なのか。
1.他の3列SUVに比べボディが大きく、3列目をゆったり使える。
CR−V、エクストレイル、アウトランダーの前長はそれぞれ、4605、4690、4695mm。とくにCR-Vは、よくこの全長で3列シートを実現した!と感心されられるが、対するCX-8は4900mmと、競合車よりも200〜300mm以上も全長が長いから、当然ながらライバル他車に比べ余裕がある。とくに、床からシートまでの高さがあって、姿勢良く座ることができるのがポイントだ。
2.パワートレーン(エンジン)に優位性。
CX-8のエンジンは1タイプのみで、2.2Lのディーゼルターボを搭載する。これは、最大トルク45.9kgmを誇る上級ユニットで、ライバル各車に比べて優位性がある。CR-V、エクストレイル、アウトランダーはともにハイブリッド車をラインナップするが、パッケージレイアウト上、これを3列シート車には搭載できないため、エクストレイル、アウトランダーは2.0L、または2.0 L/2.4Lのベーシックなユニットを積む。最後発のCR-Vについても、1.5Lダウンサイジングターボは190psの最高出力を絞り出すものの、最大トルクは24.5kgmと、そのスペックは大きくCX-8に譲る。3列シート車ながらシリーズ中の上級ユニットを積んでいるのはCX-8だけ、というわけだ。
3.内容を考えるとコストパフォーマンスに優れた価格。
それぞれFF車の場合で価格を比べてみよう。CR-Vは、342〜381万円、エクストレイルが262万円、アウトランダーは266〜308万円、そしてCX-8は、319〜353万円となっている(すべて千円以下は切り捨て)。エクストレイルとアウトランダーはともに260万円台からとリーズナブルな価格設定だ。CX-8はこと比べると絶対値としては高価だが、全長4.9mの大柄ボディ、高トルクのディーゼルパワーユニット、マツダ最高レベルに上質さをきわめた内外装と走りなど、多くのアドバンテージをもつ。最後発モデルであるCR-Vの比べるとむしろ20〜30万円安いという価格設定は、コストパフォーマンスにも優れていると言えるだろう。
CX-8のみ、ライバル車と比べてボディが4.9mと大きいこともあって、どんなユーザーにもこれがベスト、というわけではないが、ミニバンから移行したい3列シート思考のユーザーにとって、なかなかにコストバリューに優れた一台であることは間違いないだろう。実際に3列目を使用する頻度が高くないとしても、たまに友人を乗せるときや、子どもが日によっては3列目に座ってみたりと、あればあったで“使える”のが3列目というもの。SUVでもこれを選べるクルマが増えてきたことも朗報である。
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