知られざる最先端の自動車事故損害調査がここに。EDRデータ抽出が技能コンテストの新競技に! …あいおいニッセイ同和損害調査
MotorFan / 2019年3月12日 18時40分
あいおいニッセイ同和損害保険(AD損保)のアジャスター部門子会社・あいおいニッセイ同和損害調査(AD損調)は3月9日、AD損保の研修・研究部門子会社であるあいおいニッセイ同和自動車研究所(AD自研)埼玉センター(さいたま市岩槻区)で、同社アジャスターの自動車事故損害調査技術・知識を競う「GINOCON(全国技能コンテスト)」を開催した。 PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
同社では、エアバッグ制御用コンピューターに内蔵されており、一定以上の衝撃が加わるとその前後5秒間の挙動に関する詳細な車両情報を記録する「EDR(イベントデータレコーダー)」を、ボッシュの「CDR(クラッシュデータリトリーバル)」で抽出し、自動車事故の損害調査に活用する取り組みを、2017年より行っている。
このことを踏まえ、2012年より隔年開催されており今回で4回目となる同コンテストでは、EDRデータ抽出と証拠保全の実技および、EDRに関する知識を競う「先進技術対応」の競技が初めて実施されることとなった。
「先進技術対応」競技は現行トヨタ・ヴォクシーおよびカローラフィールダーを用いて行われ、出場選手は外装全体だけではなくオドメーターやシートベルトタグ、コーションプレートやタイヤのサイズ・空気圧・残り溝などを手際よく確認・撮影。その後CDRを車両に接続し、随時画面などを撮影しながらEDRを抽出していた。
なお、シートベルトタグの確認は、その製造年と車両の初度登録年を比較しエアバッグ制御モジュールの交換有無を確認するため。コーションプレートとタイヤの確認は、車両装着タイヤが純正指定サイズと異なる場合、ホイールセンサーから抽出される速度のデータを補正できるようにするため行われているという。
単にEDRデータを抽出するに留まらず、実車の状態や実車から得られる情報も漏れなく保存することで、EDRデータの客観性、証拠能力を最大限確保するよう注力していることが窺えた。
「整合性判断」の競技では、当事者間の主張が異なる事故においてどちらの主張が妥当か、またその根拠となる損傷はどのようなものかを、損傷を受けた実車から判断し回答した。
そのうち、駐車場から後退で出庫した車両に右リヤドア以降を衝突されたトヨタ・マーク2は衝突時にマーク2が走行中だったかどうか、車線変更した車両に左側面を衝突されたトヨタ・シエンタは衝突時のシエンタの速度が法定速度内だったのか、あるいは大幅に超過していたのかが争点。
特にシエンタでは、複数ある損傷のうちどれが今回の事故かも見極めなければならず、より高度な事故状況の再構築能力を求められる内容となっていた。
さらに「説明責任」の競技では、軽微な損傷で長期未入庫となっている契約者に対し訪問調査を行い修理見積を提示・説明する際に、適切な言葉遣いやビジネスマナーを用い、分かりやすく説明するのに加え、契約者からの質問に対し適切に回答できるかをロールプレイングした。
契約者は左フロントフェンダーおよびバンパーを損傷したレクサスGSのオーナーで、アジャスターである選手はフェンダーおよびバンパーを修理する見積書を提示するものの、契約者はすでに修理工場で見積もりを取っており、こちらは両方とも交換とされているのに納得できない、という状況で進行。これに対し、修理での対応にいかに納得してもらうか、その説明内容が選手によって大きく分かれた。
そして「業務知識全般」の競技は、ごく一般的な筆記試験ではなく、来場者も楽しんで見学できるようクイズ番組形式で実施された。
選手は短時間で回答しなければならないプレッシャーや司会の厳しいツッコミに耐えながら、損害調査業務に関する難易度の高い問題に挑戦。一人だけ違う回答をしたところ、その選手だけが正解という場面もあり、観客席からは静かなどよめきが起こっていた。
全国14の同社技術調査部からそれぞれ代表1人が選手として参加した今回は、埼玉技術調査部の南木進吾選手が優勝し、中国四国調査部の竹内康平選手が準優勝、東北技術調査部の市川信治選手が3位。表彰式では同社の黒田昌浩社長より各選手へ賞状やメダルが授与された。
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