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平和な時代とされる縄文人の頭骨に武器によって破壊的に突かれた痕跡、東大が発見

マイナビニュース / 2024年4月5日 15時8分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は4月4日、これまでは「輸送による破損」とされていた、1920年に岡山県で発掘された縄文人の頭骨に、鋭利な利器(刺突具)で破壊的に孔が開けられた痕跡があることを発見したと発表した。

同成果は、東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻の平野力也大学院生、東大 総合研究博物館の海部陽介教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本人類学会が刊行する人類学に関する欧文学術誌「Anthropological Science(Japanese Series)」に掲載された。

旧石器時代と弥生時代の間に位置し、氷河期が終わった1万4~5000年前に始まり、紀元前3~5世紀ぐらいまで続いた縄文時代。これまで石器中心だった旧石器時代に対し、縄文式土器で知られる土器が作られるようになった時代であり、日本の歴史上の大きな時代区分としては2番目にあたるこの時代は、その後の弥生時代以降とは異なり、集団同士の組織的戦闘の証拠が見当たらないことから、平和な時代だったと考えられている。

その一方で暴力が皆無だったわけではなく、縄文人骨には、他者による意図的な損傷が疑われるもの、いわゆる“殺傷人骨”が1922~1982年にかけて十数例ほど報告されている。近年の分析的研究でも、それらが引用されており、これまで縄文人の暴力や闘いのあり方が考察されてきた。そうした中で、たとえば、縄文時代には1対1や1対多人数の闘いが存在し、石斧や石鏃(石製の矢じり)といった日常に用いる道具が利用されたといった推論がなされている。

しかし現時点で、縄文時代の殺傷人骨についての網羅的な調査はなされておらず、既存の報告事例についても第三者による十分な再検証がなされていないため、これらのデータがどれだけ実態が示されているのかは不明な部分があるとし、研究を前進させるためには、個々の事例の再検討と、既存人骨コレクションの系統的調査が必要だったという。そこで今回の研究では、4例の人骨が調べられた。

今回の研究で新たに人為的損傷が確認されたのは、岡山県倉敷市に所在する6200~5200年前(縄文時代前期)の「羽島貝塚」から1920年に出土した成人女性の「6・7a号人骨」。左の額の部分に楕円形の孔が存在しているのが大きな特徴だという。

しかし、この額の孔は1941年当初の報告では、「輸送などの際の破損」とされていたという。その後、所蔵先の東大 総合研究博物館において多数の研究者の目に触れながらも、この孔については言及されることなく今日に至っていたとする。ところが、今回の研究において肉眼とCTスキャンによる検討が行われた結果、孔は頭骨の外面から内面に向かって拡大する、典型的な「刺器損傷」の形態を示すことが判明。近現代であれば、「銃器損傷」でも見られるものだという。

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