将来宇宙輸送システムの「ASCA-1」プロジェクト始動 - 開発加速へ米企業とも協業
マイナビニュース / 2024年4月8日 13時5分
将来宇宙輸送システム(ISC)は4月4日、「ASCA-1」プロジェクト始動記者発表会を開催。同社が開発を目指す「ASCA」シリーズの開発計画を説明するとともに、ロケットエンジン専業メーカーである米・Ursa Major Technologiesとの提携に関する基本合意を発表した。
○再使用型ロケット実現へアジャイル開発を進めるISC
ISCは、経済産業省出身で、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局にて宇宙活動法の策定などに携わった経歴を持つ畑田康二郎氏が2022年に設立。宇宙輸送事業の実現・拡大に向け、宇宙輸送機の技術開発や社会実装に向けた取り組みを進めている。
同社が開発を目指すのは、1度宇宙へ打ち上げた機体を着陸させて再びロケットとして使用することで、打ち上げコストの低減などを実現する“再使用型ロケット”だ。近年ではSpaceXがロケットの洋上着陸および機体の再使用に成功したことが知られている。しかし日本では、世界に先駆けて再使用型ロケットの開発に挑戦した過去があり、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所では1998年から再使用ロケット実験機(RVT)の開発を実施し、8階の離着陸実験を実施していた。こうした背景もありISCは、日本企業として再使用型ロケットの開発に取り組むことで、国際競争力のある宇宙輸送サービスの実現を目指しているという。
またISCがロケット開発における特徴として挙げるのが、アジャイルな開発体制である。政府がメインプレイヤーであった宇宙開発では、失敗を避けるなどのために大規模な開発を慎重にすすめる傾向にあったのに対し、同社が志向するアジャイル開発では、畑田氏が「小さな失敗に抑えて開発に活かしていく」と語るように、機能ユニットごとに要件定義からテストまでの工程を細かく重ねることで、迅速なステップアップを進めることが目指される。
こうした開発体制を実現するために、ISCは独自の研究開発プラットフォームとして「P4SD」をリリースしている。同プラットフォームでは、開発過程をデータ化してクラウド上に集約することで、開発に関わる情報を一元管理。これによりチーム制による分担開発であっても、データ共有をスムーズに行いながら開発を進められるとする。実際にISCでは2023年12月、P4SDを活用した約3か月の開発により、水素・メタン・酸素の3種類の推進剤を用いたトリプロペラント方式による燃焼試験に成功したとしている。
○ISCの「ASCA」開発プロジェクト
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