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大河原克行のNewsInsight 第300回 パナソニック「キッチン空間事業」の反転攻勢、家電低迷の日本市場でも成長描く

マイナビニュース / 2024年6月18日 16時18分

これらの新規事業の成果については、まずはBtoBでの取り組みからスタートすることになるとみられ、その点でも新たな業態やチャネルでの販売強化が貢献することになる。

また、IoT家電の増加とともに、データ活用にも取り組んでいる。

パナソニックでは、2023年2月から、IoT家電を専用アプリにつなぐと無料で2年間の延長保証が受けられるIoT延長保証サービスを開始し、すでに900万人が登録。キッチン空間事業では、冷蔵庫、スチームオーブンレンジ、自動調理鍋が対象になっている。

たとえば、冷蔵庫では、稼働時間のデータをもとに、定期診断レポートを毎月配信して、エコな使い方や便利な機能などを紹介。さらに、稼働データをもとに、冷蔵庫内の温度上昇を検知した場合には、対処方法をわかりやすく伝えるといったサービスも行っている。

「まずは母数を増やしていくことを目指している。収集したデータをもとに、新たなサービスを創出したり、モノづくりの進化につなげたりといったことに取り組むことになる」とする。離れた家族の見守りサービスとの連動、家族の好みを反映した新たなレシピの提案などは、データを活用したサービス事例になりそうだ。

また、太田事業部長は、「冷蔵庫のテスラを目指す」と比喩。IoTの強みを生かして、随時、機能をアップデートすることも視野に入れる。「冷蔵庫の省エネのためにはコンプレッサーの制御が重要になる。購入後の冷蔵庫も、アップデートによって、より最適なコンプレッサー制御や風路制御を行うように進化させることも考えたい」と述べた。

パナソニックでは、様々な職能のメンバーが集まったME(マイクロエンタープライズ)制によるモノづくりを進めている。

「ME制の良さは、モノづくりの企画段階から、全員でお客様を向いた議論ができる点にある。いままでの手法は、バケツリレー方式であり、企画、開発、技術といった順番でそれぞれの手に渡り、技術の手に渡ったときに、素晴らしい改善策があっても、企画に戻してやり直すことができないという課題があった。いまは、ME制を意識した仕組みづくりから始めているが、これが定着すればわざわざME制という言い方をしないで済む。『出島』でやる特別な仕組みではなく、全員がME制で取り組めるようにしていきたい」

図面を書く際には、商品企画部門から指定された長さや角度などをもとに行うのが通例だが、ME制では様々な職能の人たちが参加するため、「スーっと開くようにしてほしい」といった、いわば曖昧な表現の情報をもとに図面を書くことも求められる。こうしたやり取りでも業務が進むように、社内の風土を変える必要があると、太田事業部長は語る。

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