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「Lunar Lake」Deep Diveレポート - 【Part 1】P-Core&E-CoreとPackageについて

マイナビニュース / 2024年6月29日 12時31分

改めてRedwood CoveまでのALU/FPUを見ると、ポートを増やさずに無理やり実行ユニットを追加して、なので最適化というかスケジューリングがかなり難しくなってたのを整理し、発行ポートも追加して無理なく実行できるようにした、という感じであり、なるほど「オーバーホール」という言い方がふさわしい感じだ。

加えて電源管理周りも強化された。まず遂に(?)電源管理がAIベースになった(Photo13)ほか、大きな違いとしてClock倍率が16.67MHz刻みになった(Photo14)。説明では、これでよりギリギリまで動作周波数を上げられる様になった、としているし実際そういう面もあるのだが、その一方で同じだけ動作周波数を上げるためにはこれまでよりも煩雑に倍率変更が必要になる(倍率変更の回数が6倍になるから、例えば300MHz上げるのにこれまでなら3回の変更済んだのが18回に増える)事になる。勿論この辺はやりようは幾らでもあり、例えば温度/電力枠にゆとりがある時は6bin単位での更新、ギリギリになったら1bin単位で更新という風にすれば、それほど変更回数が増えない事になる。このあたりの調整も、そのAIに任せているという事なのかもしれない。

こうした積み重ねでIPCを平均で14%改善した(Photo15)、というのがIntelの説明である。その性能改善は動作周波数が低いところほど顕著であり、動作周波数が高いところでは10%程度なのが、低くなるほど増え最大では18%以上になるとされている。ただSnapdragon Xと競合するのであれば、P-Coreそのものの消費電力は5W以下が想定される訳で、こうした領域で大きくIPCを伸ばしているのは好ましい特性と言える。

最後が"Modernize design database"の話(Photo16)。Redwood CoveからLion Coveに移行するにあたり、設計技法をだいぶ変更したらしい。一つは内部の論理構造を大幅に作り替え、より大きい単位でのコンポーネント化を実現したこと、恐らくコンポーネント内部の作り方を変えた(Latch dominated→Flop dominated)こと、それとプロセス依存性からの脱却である。要するに以前は小部品を集めて構成していたものを、より大規模なモジュラ化することで効率化を図ると共に、そのモジュラ同士の接続方式を改善した、という話に読める。恐らくだが、これまでは小さなコンポーネント部品を大量に繋ぎ合わせる関係で、すべてのコンポーネントを連携して動かすためにはLatchを使ってきちんと同期させる必要があった。ところがコンポーネントのサイズが大きくなると、その内部はある意味勝手に動いても構わない(コンポーネント間はLatchを使って同期する必要はあるが)から、コンポーネント内部のLatchの数を大幅に減らすことが可能になったものと思われる。Latchはある意味SRAMであって面積も喰うし、このLatchにClockを分配するのにもそれなりの消費電力(と配線)が必要になるから、Latchを減らせればそれだけで回路規模と消費電力を抑えられる。Process-node-agnosticは「今まではそうなってなかったのか」という驚きも若干あるのだが、Lunar LakeやArrow LakeはTSMCを使って製造される関係で、物理設計は兎も角として論理設計はなるべく特定ファウンダリ/ノードに依存しない様に作らないと、プロセスを変えるたびに論理設計のやり直しが発生する事になる。これを極力抑えるようにした、ということである。とはいえ、99%非依存というのはまだ1%も依存部が残ってるという話であって、P-Coreの規模を考えると結構多いな、という印象も受ける。

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