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大河原克行のNewsInsight 第303回 「テレビ撤退」という誤解、シャープのテレビ事業戦略を改めて追う

マイナビニュース / 2024年6月30日 16時47分

画像提供:マイナビニュース

「シャープがテレビから撤退する」――。そんな誤った情報が一部に広がっている。原因は、シャープが発表した液晶パネルの製造を行う堺ディスプレイプロダクツ(SDP)の停止にある。シャープ TVシステム事業本部の岡本寛文本部長は、「大型液晶パネルの生産は停止するが、液晶テレビの生産、販売は継続する。テレビのさらなるシェア拡大に挑む」と意気込む。シャープのテレビ事業を改めて追ってみた。

結局、シャープは「テレビ事業から撤退する」のか?

量販店のテレビ売り場では、来店客と店員との間で、こんな会話が交わされている。

来店客 「シャープは、テレビを止めちゃうんでしょう?」
 店員 「いや、テレビの生産、販売は続けますよ」
 来店客 「ニュースで、撤退するって聞いたけど」
 店員 「液晶パネルの生産は停止しますが、テレビは続けるんです」
 来店客 「液晶パネルの生産をやめて、テレビは作れるの?」

こうした来店客との会話が、たびたび繰り返されるという。シャープがテレビから撤退すると誤解して、いまのうちに「AQUOS」を買っておこうと来店するシャープファンの姿もあるという。

シャープは、2024年5月14日に発表した中期経営方針において、2022年度に子会社化したSDPでの液晶パネルの生産を停止すると発表。これが、テレビ事業の撤退と誤解されて伝わっていることが、こうした事態を招いている。

この誤解が膨らんだ結果、シャープのテレビはアフターサポートが無くなるから、もう購入しない方がいいという誤った見方も出ているという。

まずは情報を整理しておこう。

シャープは、液晶パネルの国内生産を、4カ所の工場で行っている。

テレビ向けなどの大型液晶パネルを生産するSDP(堺工場)、テレビ向け中小型液晶パネルを生産する亀山工場、スマホ向け中小型液晶パネルを生産する三重工場および白山工場である。

5月14日に発表した中期経営方針において、シャープは大規模な構造改革を発表。その一環として、2024年9月までに、SDPの大型液晶パネルの生産を停止し、これをAIデータセンターに転換することを決定した。SDPの建屋の新たな利用については、現在、KDDIやソフトバンクと交渉を進めているところだ。

また、中小型パネル事業についても、生産能力の縮小、人員適正化などを実施し、亀山第二工場では、日産2000枚を1500枚に縮小し、三重第三工場では、日産2280枚から1100枚に縮小。また、堺工場のOLEDの生産ラインを閉鎖することを発表している。

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