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日本の建設産業、これまでとこれから

マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分

野原: 大工の方々など、複数の工種をまたがった仕事、例えば、細かい修繕ができる人の減り方も激しいですよね。

蟹澤: 建設業全体で2045年には従事者が半分になると言いましたが、大工は2035年に半分になり、2045年には3分の1になってしまいます。現在、生産年齢の大工の数が21万人余なのが、2035年には11万人、2045年には6万人強になる可能性が高いです(下図参照)。

野原: ものすごい減少率ですね。

蟹澤: でも新築に関しては、木造住宅は、あらかじめ工場で材料をカットするプレカットになってきたので、これまで大工がやっていた積み付けて刻んでといった過程が不要になりました。およそ二人工、30坪の住宅を2人で加工して30日かかっていた仕事が数時間で済むようになったので、住宅メーカーでは、いわゆる生産革命が起こったと言っていいでしょう。

しかし、それ故に、「カンナかけて」「ノミ使って」といった、みんなが憧れる大工の仕事が一切残っていない。憧れと現実のギャップがあまりに大きく、せっかく大工を目指して業界に入ってきても、がっかりして辞めてしまうのです。先ほどの建設全体の話と同じですね。やりがいが、ない。

日本の総人口が毎年60万人も減っていることを考えると、人手不足は建設産業のみならず、日本社会全体の課題です。

むしろ、建設産業ならではの「やりがいの喪失」や長時間労働や非効率な業務など、業界特有の本質的な課題を見直す必要が、大いにあるのではないでしょうか。

●建設現場の問題は、一人ひとりの個人につながる
野原: このままでは日本の建設産業は衰退していく可能性も高いと思います。それによって、消費者、生活者にはどのような影響が懸念されるでしょうか。

蟹澤: 建設技能者の数が半分に減ると、世の中がどうなるのか。実感をもって想像されている方はまだ少ないかもしれません。端的に言えば、「建設物を半分の人数で作れるような作り方にするのか」、あるいは「建設物を半分に減らすか」の2つしかありません。一般の消費者目線で言えば、簡単に建物を建てられなくなるし、直すのもままならなくなる、ということです。

大手ゼネコンはまだしも、業界の多くを占める中小零細企業は、そこまで危機感を抱いていない。その事実を私は心配しています。「人手不足や後継者不足などで困ったら、廃業すればいい」と考えている経営者の方が大勢いますからね。

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