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日本の建設産業、これまでとこれから

マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分

野原: 戸建住宅は新築にしろ、改築にしろ、技能者が減ることで、発注から完成まで時間がかかり、それどころか、どこかが壊れて早急に修理が必要な場合でも、順番待ちになるでしょう。

蟹澤: 2024年1月1日に起こった能登半島地震では、築年数が古い家が多く、耐震改修が進んでいなかったことが被害の拡大につながりました。仮に全世帯が耐震改修に取り組もうとしたら、そもそも何十年もかかるでしょう。

そんな中で、日に日に職人が減り、それどころか建設事業者自体が減っているのです。今ある膨大な家のストックをどのように面倒を見ていけばいいのでしょうか。

野原: 特に耐震改修工事は難易度の高い仕事だと言われています。腕のいい現場の方々が減っているのは一般消費者にとっても死活問題ですね。

蟹澤: 耐震だけの問題ではありません。日本の家屋は、世界の中でも省エネ性能、断熱性能が悪い。エネルギー問題の観点から、効率的に冷暖房ができる建築に対応していく必要があるのです。

実際、新築に対しては、建築基準法や建築物省エネ法が改正され、2025年4月から省エネ性能、断熱性能を備えることが義務付けられました。これから既存の家屋も改修していく必要が出てくるでしょう。ところが、その担い手がいない。耐震改修同様に、省エネ対策の現場も簡単ではありません。

しかし、現場でビスを打つなど、簡単な組み立て作業のような仕事ばかりになってしまった。「現場に合わせて自在に調整する」といったことができる腕のいい職人はどんどん減っています。

野原: なるほど。担い手不足が続けば、工賃が高騰するでしょうから、直接的には消費者の方々が、支払わなければいけない金額は大幅に上がりそうですね。

志手: そうですね。消費者、生活者への影響は、まさに「価格が上がること」「修繕や改修を頼んでも、すぐには来てくれなくなること」の二つでしょうね。

蟹澤: 2019年に関東地方に上陸した、「令和元年房総半島台風」は多くの建造物に甚大な被害を出しました。ところが、屋根の修理などの改修は、当時、5年待ちとの報道があったほど、順番待ちが続いていました。秋田県では、2023年夏の大雨で被災した住宅の修理も、人手不足が原因で着工に遅れが出ている状況と報道されています。今後、同様の状況が、日本全国で起こり得ると考えられます。

野原: 海外の事情はいかがでしょうか。国や地域によって違うと思いますが、日本のように建設技能者の数は減っているのでしょうか?

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