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日本の建設産業、これまでとこれから

マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分

蟹澤: 建設現場で働くことの人気が、かつてより下がっているのは世界共通だと思われます。自国民ではなく、建設現場に外国人を多く配しているのを見れば顕著です。

ベトナム、インドネシアなどは、まだ自国民が建設現場にいますが、より所得水準が高いタイ、マレーシアになると自国民は現場で働きたがらない。一人当たりのGDPは日本の3分の1程度なのにです。シンガポールなどは100%、完全に外国人です。いま現在は、アジア各国の現場で、労働賃金の安いベトナム人の労働者を取り合っていますが、遠からず、ベトナ
ム人も来てくれなくなると思いますよ。

野原: 欧米は、どうなのでしょうか?

蟹澤: 欧米でも、建設現場は頭を使う仕事が減り、体を使う単純作業が増えたのは同じです。そうなれば労働生産性が下がり、賃金も安くなりますが、欧米が違うのは、業界団体が強いことです。

アメリカではユニオンが、ヨーロッパではギルドの歴史があるため、何とか建設現場の職人たちの地位を保っています。ユニオンやギルドは、ひらたく言えば「職能に特化した業界団体」ですね。大きな特徴はベテランの職人が若い人を受け入れて、一人前に育ててから外に出す仕組みが明確に定められていることです。

野原: アプレンティス(=見習い)制度ですね。

蟹澤: そうです。日本語では、少し訳すのが難しいのですが、厳密に一人前の職人のレベルを定義して、それを育てるシステムが根付いている。単なる力仕事にしないように、付加価値が高い仕事であると他者に認めさせるための仕組みで、だから、それなりの高い賃金を保証する賃金協定が成立しているのです。

アメリカのユニオンワーカーの賃金は日本の約3倍、ヨーロッパでも大体2倍です。一方、東南アジアの建設労働者の賃金は、日本同様、あまり高くない。欧米では、「体を使う仕事」としてではなく、一人前の職人としての技術や経験などが知識として評価されているんだと思います。日本もそうですが、体力だけを評価しているような国は、建設業の人気はどんどん落ちていく。

志手: 一方で、EUは東ヨーロッパやアフリカ、アメリカは中南米、東南アジアは近隣の貧困国、中国は内陸部の人たちが建設労働者として数多く働いています。結局は、どこの国でも建設業の仕事は人気がありません。どうやって建設業の魅力を高め、人員を確保するのかは、日本だけではなく、多くの国の課題でしょう。

●日本の建設産業が、再び魅力を取り戻すには
野原: 輝きを失いつつある建設産業ですが、再び魅力的な産業になるためには、どのような取り組みが必要でしょうか?

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