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建設DXはどのように進化していくのか

マイナビニュース / 2024年9月26日 10時0分

こうした問題は、ロボットやICTについても同様で、例えば、ある現場作業所を想定した作業に対して新たに「システム」や「ロボット」を作っても、次の現場ではそのままでは使えません。

さらに、多くの新技術には開発費問題が伴います。端的には、社内だけで展開をして採算が取れる規模ではないのです。

ですから、「できた技術をどう展開するのか」ということは大変な困りごとだったのです。今回、「建設RXコンソーシアム」を作ったのは、このような団体でフォローアップしていく体制を作らないと、いつまでも新しい技術が使えるようにならないと思ったからです。

コンソーシアムという形態にしたのは、熾烈なライバル同士であるゼネコン各社が、自社の利益はさておき、建設産業を盛り立てていくという共通の目的に向かって協力しあうという強い決意があるからです。

野原: どのようなフォローアップ体制を実現されているのでしょう。

村上: 各社の有用な技術やナレッジ(※1)を共有し合えるようにしました。例えば竹中工務店と鹿島建設が、アクティオ、カナモトと共同で開発したタワークレーンの遠隔操作技術である「TawaRemo(タワリモ)」(下図参照)開発を主導した竹中工務店の機材センターの人間が、清水建設、鹿島建設の現場での使い方を指導しています。そうすると、どこでも誰でも使える技術になります。

※1 ナレッジ:企業などの組織で蓄積できる、有益で付加価値を生み出す経験や実例、体系的な知識のこと

建設RXコンソーシアム発の開発技術(1)

タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」

左から、地上コックピットでの操作状況、コックピットのモニタ

竹中工務店、鹿島、アクティオ、カナモトが共同開発した革新的な遠隔操作システム。従来、タワークレーンのオペレーターは高所の運転席まで約30分かけて昇る必要があったが、地上のコックピットから遠隔操作を可能とすることで、昇降時間の短縮や作業環境の大幅改善を実現。「タワークレーン遠隔操作分科会」の活動を通じて、多くの現場への適用が進み、従来と同等の作業が可能であることが確認されている。

それ以上に大切なのは、こうした施策によって、連携する空気が生まれることです。これまでは、メディアなどで他社の技術が公開されても、ゼネコン各社はライバル社の技術を「使いたい」などとは言えませんでした。

しかし、コンソーシアムができてから、協力し合えることは協力するという雰囲気が出てきました。新しい技術を展開するために、各社の担当者たちは集まって知恵を絞っています。みんな実に楽しそうなんです。

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