H-IIAロケット、最後の旅立ちへ - 四半世紀の想いが詰まった50号機が完成!
マイナビニュース / 2024年10月15日 13時21分
ここで組み立てられたコア機体は、機能試験を終えて完成となる。その後、コンテナに積み込まれ、船で種子島へ送られ、種子島宇宙センターに搬入される。そして、機体を立てて組み立て、人工衛星を搭載し、宇宙へ飛び立っていく。
H-IIAロケットが歩んだ四半世紀
この工場から、H-IIAの記念すべき試験機1号機が旅立ち、そして種子島宇宙センターから鮮烈な初飛行を飾ったのは2001年のことだった。それから23年あまりの間に、計50機のH-IIAがこの工場で生まれ、旅立っていった。
H-IIAは、日本初の純国産大型ロケット「H-II」の後継機として開発された。H-IIより前までのロケットは、宇宙開発事業団(NASDA) ――現在の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身のひとつ――が米国から技術を導入して開発し運用していた。そんな中、21世紀を見据え、世界に通用するロケットを、日本の技術だけで開発するという目的の下、H-IIは造られた。
H-IIは、打ち上げ能力こそ世界の主力ロケットに近づいた。しかし、1998年と1999年に連続して起きた打ち上げ失敗により、信頼性に疑問符がついた。さらに、コストが高く、商業打ち上げ市場で競争力を欠いていた。
そこで、H-IIでつちかった経験と実績をふまえ、構造の簡素化による信頼性向上とコストダウンを同時に実現することを目指して開発されたのが、H-IIAだった。
H-IIAは中型から大型ロケットの部類に入り、日本の主力ロケットとして、地球観測衛星から通信・放送衛星、さらには月・惑星探査機の打ち上げも可能な性能を備える。とくに、固体ロケットブースター(SRB-A)の装着本数を2本ないしは4本、またフェアリングも3種類の中から選択して装着でき、さまざまな質量、形状の衛星の打ち上げに柔軟に対応できることを大きな特徴としている。
この性能を活かし、国の重要な衛星から、海外の衛星、さらに小惑星探査機「はやぶさ2」など、さまざまな宇宙機の打ち上げを担い、日本の宇宙開発において重要な役割を果たしてきた。
2001年8月29日の初飛行以来、これまでに49機が打ち上げられた。2003年には6号機が失敗を喫するも、それ以外はすべて成功し、成功率は約97.96%、また7号機以降は連続で成功しており、H-IIの課題であり、H-IIAの開発目標であった高い信頼性を実現した。
さらに、天候以外の理由、すなわちロケット機体や設備の故障などによる延期が少ない、高い“オンタイム打ち上げ”率も強みとなっている。
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