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H-IIAロケット、最後の旅立ちへ - 四半世紀の想いが詰まった50号機が完成!

マイナビニュース / 2024年10月15日 13時21分

また、コストもH-IIから約半減させることに成功した。くわえて、2007年の13号機から、打ち上げ業務が三菱重工に移管され、同社による衛星打ち上げ輸送サービスが始まった。

商業打ち上げ市場への売り込みでは、韓国やカナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、英国から、計5件の海外顧客からの衛星打ち上げを獲得し、一定の成果を残した。もっとも、十分に成功したとは言いがたい。たしかにH-IIよりは安価になったものの、より安価なロシアのロケットや、近年は米国スペースXの「ファルコン9」ロケットなどに対して、つねに苦戦を強いられてきた。

また、商業打ち上げ市場を始めとする、宇宙開発全体の変化と発展の中で、H-IIAでは対応できない場面も出てきた。

そこで2014年には、より抜本的なコストダウンや打ち上げ能力の向上、どんな衛星の打ち上げにも対応できる柔軟性の獲得、そして技術の継承などを目的に、後継機となる「H3」ロケットの開発が始まった。

H3は、2023年の試験機1号機の打ち上げに残念ながら失敗するも、2024年2月の試験機2号機の打ち上げで初成功を収めた。同年7月には3号機の打ち上げにも成功し、徐々に本格的な運用に向けた軌道に乗りつつある。

そして、H-IIAは50号機の打ち上げをもって退役することが決まった。H3の誕生を見届けるように、そのときが近づいてきている。

●50号機のミッションと、最終号機ならではの難しさと“特殊仕様”
H-IIA 50号機のミッション

H-IIA 50号機は、JAXAの温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」を搭載し、所定の太陽同期準回帰軌道に投入することを目的としている。

打ち上げ時期は2024年度中の予定で、具体的な日時は調整中としている。

50号機は、SRB-A3を2本装着するH-IIA 202型で、直径4mシングルローンチ用フェアリング(4S型)を搭載する、最も標準的な構成で打ち上げられる。

ただし、コア機体はSRB-Aを4本装着する204型の仕様で造られた、“特殊仕様”になっている。

H-IIAは50号機で最後になることが決まっていた一方で、どのような衛星を積むかはあとで決まることになっていた。万が一、202型では打ち上げられない大きな衛星を積むことになった場合、従来なら204型の機体を造って打ち上げ順を入れ替えるなどすれば対処できたものの、最終号機ではもう次がないため、そうはいかない。そこで、そうした場合に備えて、コア機体だけは204型の仕様で造ったのだという。

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