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H-IIAロケット、最後の旅立ちへ - 四半世紀の想いが詰まった50号機が完成!

マイナビニュース / 2024年10月15日 13時21分

また、「どれひとつとして、易しい打ち上げはありませんでした」とも語る。

「試験機1号機の打ち上げ、6号機の失敗、7号機での飛行再開の成功と、いろいろと思い出はありますが、すべての打ち上げで、かなりの緊張があり、それを乗り越えて打ち上げ成功を続けることができました」(田村氏)。

三菱重工でH-IIAロケット プロジェクト・エンジニアを務める穎川健二(えがわ・けんじ)氏は、上司である田村氏から、かつて「一つひとつ、確実に」という言葉を教わったエピソードを披露し、「関係者の中で呪文のように繰り返し口にし、身に染み込ませることで、これまでやってくることができたと思います」と振り返った。

そして、50号機の打ち上げに向けては、「私がロケットに関わるようになってから、H-IIAはずっとこの工場にある機体でした。それがいよいよ最後というのは、感慨深く、寂しい気持ちもあります。ただ、最終号機だからといって必要以上に意識することなく、普段どおりの仕事をこなして、確実に打ち上げを成功させ、有終の美を飾りたいです」と語った。

コア機体は9月27日に飛島工場から出荷され、30日に種子島に到着し、その後種子島宇宙センターへ送られた。そしていま、飛島工場では、H3のコア機体が続々と製造されている。

H3は打ち上げ能力を高めているため、コア機体の太さも長さも、H-IIAより大きくなっている。さらに、色が薄い黄色になっている点が目を引く。

実は、H-IIAもH3も、生まれたての時点ではどちらも同じ、白に近い薄い黄色をしている。この色は、タンク表面に塗布している断熱材の色で、製造から時間が経つにつれて酸化して色が濃くなっていく。H3はH-IIAに比べ、打ち上げの高頻度化を目指して生産体制を見直したおかげで、製造から打ち上げまでの期間が短いため、薄い黄色を保ったまま私たちの前に姿を見せるのである。

曰く、黄色は太陽を連想させ、エネルギーやパワーにくわえて、希望や未来への期待感も表す色だという。それはまさに、H-IIAがこの四半世紀で築き上げてきた技術と経験を受け継ぎ、より大きなエネルギーとパワーで未来を切り拓こうとするH3を象徴するかのようだ。

その黄色いロケットは、オレンジ色のロケットが工場から出て行く最後の瞬間を、静かに、しかし頼もしく見守っていた。

鳥嶋真也 とりしましんや

著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)



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