変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第10回 国民機「PC-9801」誕生、栄華を極めた国産パソコンと迫るDOS/V時代
マイナビニュース / 2025年1月21日 12時0分
NECが、1982年10月13日に発表したPC-9801は、情報処理事業グループが開発した16ビットパソコンだ。
PC-8001およびPC-8801が半導体を取り扱う電子デバイス事業グループ、PC-6001が家電事業を担当する新日本電気(のちの日本電気ホームエレクトロニクス)から誕生したパソコンであったのに対して、16ビット時代を迎えて、コンピュータ事業の「本家」が、いよいよパソコン事業に乗り出してきた構図だ。
「開かれた」路線を打ち出し歴史に残る大ヒット
情報処理事業グループでは、パソコン事業の参入にあたり、2つの製品ラインを開発した。
ひとつは、1981年7月に発売したパーソナルターミナル「N5200/05」である。同製品は、オフィスコンピュータの下位機種に位置づけられ、アプリケーションソフトウェアや周辺機器を含めて、NECがすべてを開発する「閉じられた」路線の製品であった。
そしてもうひとつが、PC-8001のアーキテクチャーを継承し、互換性を維持するとともに、アプリケーションソフトウェアや周辺機器の品揃えは、サードパーティーに委ねる「開かれた」路線を打ち出した16ビットパソコンであった。それがPC-9800シリーズであり、その後、「キューハチ(98)」の愛称で親しまれることになる。
当時のニュースリリースを見ると、「パーソナルコンピュータとしては、わが国最大の640キロバイト(最大拡張時)という大容量の主記憶を備え、中央処理装置には、16ビットマイクロプロセッサーを採用した処理能力の高い製品であります」と記されていたほか、「N-BASIC、N88-BASICで書かれた数多くのプログラムをそのまま利用することができるパーソナルコンピュータであります」と位置づけた。
ニュースリリースにも示されていたように、PC-9800シリーズでは、国内で最も売れたパソコンであるPC-8000シリーズおよびPC-8800シリーズ向けに開発されたアプリケーションをそのまま利用できる点を特徴に掲げたが、この実現には困難を極めた。
PC-8000シリーズとの互換性を実現する16ビットに対応したBASICを開発するために、NECでは、PC-8001のBASICを開発した米マイクロソフトに開発を打診したが、開発リソースや時間的に間に合わないという理由で開発を断わられたため、NEC独自に開発することを決断。試行錯誤の末に、16ビットに対応したN88-BASICを完成させたのである。
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