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日本にもスタートアップの時代がやって来る

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月27日 7時5分

 子供でもおじいちゃんおばあちゃんでもだれでも、人に「なにこれ?」って聞かれたときに、ひとことで自慢できるようなもの、これをいつも考えてモノづくりをしています。

 そう考えるに至ったのは、実はカフェの経験がめちゃくちゃ大きいんです。うちのカフェはパンケーキが結構人気なんですけど、みんな、それを食べに来るわけじゃないんです。写真を撮りたくて来る人がほとんどです。

加谷 写真を撮って、それをフェイスブックとかインスタグラムに投稿するんですね。確かに、料理の写真をアップする人って多いですよね。特に女性はその傾向が強そうです。

森 僕の姉なんかもすごいやってそう(笑)。

中澤 本当に、なかなか食べてくれないんですよ。アツアツで出しているから、私としては早く食べてほしいんですが、いろんな角度から何枚も撮りまくる。で、食べる前にアップするんです。

 ちなみに、40代くらいの男性がひとりで来ても、まったく同じです。

加谷 同じかぁ~(笑)。

森 上の世代の人たちも、同じ価値観になっているってことですか?

中澤 パンケーキに集まってくる人は、同じだと思います。だからメニューも、値段じゃなくて見栄えで「これすごそう」っていうやつを選ぶんです。だれも写真を撮っていないであろうものを。

 でも結局、人の消費行動って、そういうことじゃないかと思うんです。もちろん必要だから買うものもあるけれど、パンケーキやうちの家電のような嗜好品は、よく見られたいってことにすべてつながると思っています。言ってみれば承認欲求ですよね。

 だれかに自慢したいから買う。だから、そこに対しては他よりも高いお金を払ってくれるんだと思います。

加谷 確かに、スペックだけを過剰に追求していっても、一部にはそれが好きな人もいるかもしれないけれど、実はあんまり多くの人の心には響いていない時代になっていますね。

森 モノ自体に価値があるんじゃなくて、お客さんにとってもうひとつ、より強い動機とか、より強い価値がないと手に取ってもらえないのかなって思っています。

「LaFabric」のアプローチとしては、生産背景とか、これはどこそこの県のなんとかっていう地域で作られたスーツですってことを、すべて見せてあげるんです。商品がたどってきたストーリーを伝えるということですね。

 それも言ってみれば、中澤さんが言うように、自慢できる、人に語れるっていうことですよね。しかもオーダーメイドなんで、このポケットはこういうつもりで選んだんだ、といったことまで語れる。そういうものがないと、ただモノを作るだけでは足りないのかなと思っています。

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