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日本にもスタートアップの時代がやって来る

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月27日 7時5分

 そのときに、僕は「なんでだろう?」って思ったんです。だって、だれだってジーンズを履くじゃないですか。履く人は減っていないのに、なんで工場が閉鎖されてしまうんだろうって。

 大学を卒業して、アパレルの仕事をするようになってわかったのは、業界のいびつな構造です。中間流通がものすごく多いんです。まず商社があって、卸会社も第一卸、第二卸とあって......何十年もそういった構造のままなんですよ。

加谷 確かに、アパレルは複雑そうですもんね。

森 めちゃくちゃ複雑です。お客さんが払ったお金のうちの、ほんのちょっとしか製造現場に下りてこないんです。ものすごくマージンが低い。要するに、現場が儲からない仕組みなんです。だから、現場をやっていた岡山の人たちが苦しい想いをしていたんだなって気づいたんです。

 いまはインターネットの時代なので、ネットを活用して、工場と直接やりとりしたいなって、シンプルに思ったわけです。

加谷 インターネットを活用する大きなメリットとして、"中抜き"ということがよく言われますが、まさにそれをやってのけたわけですね。

【参考記事】ミレニアルズ世代が熱狂する「カスタマイズ」とは何か

森 オーダーメイドという発想にいたった理由はもうひとつあって、それは、僕たちは毎日ふつうに洋服を着ていますけど、たとえば加谷さん、今日来ていらっしゃる服を、どこのだれが作ったかってわかりますか?

加谷 いや~、わからないなぁ。

森 そうなんですよ。でも、それって変だなって思ったんです。

「いまは自分がメディアを選ぶ時代だから、自分で情報を集めることができるようになった。その結果として、モノを選ぶハードルが高くなっている」(森雄一郎氏、後ろに掛かっているのは「LaFabric」のコート)

 いま、野菜とか体に入るものについては、どこでどう作られたのかを気にする人が多くなっています。だから、毎日12時間も着ている洋服について、その生産背景とか、それが作られた経緯に、もっとリスペクトするべきだと思うんです。

 今日、僕が着ている服はすべて、どこのだれが作ってくれたかを知っています。そうすると、他の服に比べて、ものすごく愛着が湧くんです。自分だけのオリジナルですし、どんどん好きになる。

「コミュニケーション時代のメーカー」

加谷 森さんがライフスタイルデザインを起業したのが2年前で、中澤さんのUPQはまだ半年ですが、おそらくおふたりのビジネスは、3年前なら成立し得なかったという気がするんです。長沼さんからご覧になって、どういう変化が起こっていると思われますか?

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