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トランプ、クリントンいずれでも中国に強硬策は取れず――小原凡司・東京財団研究員に聞く

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月11日 11時22分

 東京財団研究員(政策研究調整ディレクター)の小原凡司氏は時事通信社のインタビューに応じ、中国の軍事情勢などについて見解を示した。内容は次の通り。(インタビューは9月28日、聞き手=時事通信社解説委員 市川文隆、写真はニュース映像センター写真部 鴻田寛之)

――現在の米大統領選を中国はどう見ているのでしょうか。

小原凡司・東京財団研究員 米国は今、外交どころではないということを中国は理解していると思います。たとえヒラリー・クリントン氏が大統領になったとしても、対外的に大きな資源は割けないだろうと思っています。クリントン氏は民主党には珍しい、ルールをごり押しするタイプなので、中国は嫌いでしょう。それでもルールを押し出して型通りにやってくる方が読みやすいという思いはあるでしょう。

 一方、中国は、ドナルド・トランプ候補のようなポピュリストは好きではありません。世論によってどうにでも変わるからです。中国では、トランプ氏は商人だから金さえ積めば反対はしないはずだとの声も聞こえますが、本音のところではいつ手のひらを返されるのだろうかと心配するはずです。

 ポピュリストと言われるドゥテルテ・フィリピン大統領も、世論次第でいつでも対中強硬になりうるという意味で、中国は非常にやりにくいと思います。

――トランプ氏が大統領になったら、中国はやりやすくなるとの見方もあります。

小原氏 中国は米国の貿易など経済的な権益を侵しにいくわけですから、中国は米国に妨害されるのが怖いのです。トランプ氏が万一大統領になったとして、中国のそうした活動を理解した場合は、米国の権益を守るために動くと思います。そうした場合、中国にとってはトランプ氏の方がやりにくいのかもしれません。

――米中関係の今後をどう見ていますか。

小原氏 中国は経済権益を拡大したい、でもそれが思うようにいかないから不満だと言っています。経済ルールだけでなく、中国が触れてほしくない問題、人権や西洋型民主主義に関して国際社会で共通の価値観が形成され、この価値観を共有できる国が国際社会の成員だということになると、中国はこの条件には当てはまらない。欧米先進諸国が、こうした国際社会の認識、ルールを用いて中国の発展を妨害すると捉えるのです。コソボ紛争の時に、北大西洋条約機構(NATO)が人権の侵害を理由に軍事力を行使しましたが、中国は激しく反発しました。これを適用すると中国の人権侵害にも軍事力を行使する前例のようなものですから。

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