トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月5日 13時40分
2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談した。1979年に国交断絶をして以来のことだ。「一つの中国」を踏みにじると中国は激怒。同日、キシンジャー氏と会っていた習近平国家主席は顔に泥を塗られた形だ。
「一つの中国」原則を破るのか?
アメリカ時間の12月2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談をした。1979年の米中国交正常化に伴い、アメリカと「中華民国」が国交を断絶して以来、初めてのことだ。国交正常化に当たり、中国が「中華人民共和国」を「唯一の中国」として認めさせ、「一つの中国」を堅持することを絶対条件として要求したからである。
それ以降、アメリカは「中華民国」を国として認めないことを誓い、「中国の一地域である"台湾″」と呼び、国家の指導者同士が接触しないことを守ってきた。
しかし、トランプ次期大統領は電話会談という手段を通してその原則を破っただけでなく、蔡英文総統を "The President of Taiwan" と呼んだのである。
その全文には "The President of Taiwan CALLED ME today to wish me congratulation on winning the Presidency. Thank you!" とある。
訳すまでもないとは思うが、日本語では"台湾総統は今日、私に電話をかけてきて、総統選に勝利したことを祝ってくれと言ってきた。ありがとう!"となる。ここでは"CALLED ME"(電話をかけてきた)が重要で、「自分からかけたのではない」と弁解したいわけだ。ツイッターでは、この部分だけが大文字になっている。
それでも、タブーとされていた「直接会談」を「相手を総統と認めて」受けたということは前代未聞で、中国(大陸、北京政府)にとっては転変地変の大事件だ。
おまけに両者は「経済、政治、安全保障での緊密な関係が台湾と米国の間にある」と確認し合ったという。台湾メディアおよびトランプ陣営が報じた。この中に「安全保障」という言葉があるのが、キーポイントである。
王毅外相抗議
これに対して王毅外相は3日、つぎのように抗議した。
「台湾がやった小細工だ」「これによって、アメリカが堅持してきた"一つの中国"の原則を変えることはできない」という旨の発言をした。「2016年国際形勢と中国外交政策シンポジウム」が終わった後に、香港の鳳凰(フェニックス)の記者の問いに答えたものだ。
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