今がベストなタイミング、AIは電気と同じような存在になる
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月8日 16時30分
<これからのビジネスの方程式は「X+AI」すなわち、靴や椅子、タクシーにAIを加えたらどうなるか、だと『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』の著者ケヴィン・ケリー氏は言う。ケリー氏によれば、テクノロジーの発展がもたらす不可避の未来は予見可能だ>
2016年7月、電通デザイントークにて『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』を執筆したケヴィン・ケリー氏の出版記念講演会が開催された。(主催:電通デザイントーク、企画協力:COTAS)
ケリー氏の講演内容を前編(本編)で、その後の質疑応答を後編で紹介する。
【参考記事】ケビン・ケリーが考えるテクノロジーの進化/Figure out(解明する)
◇ ◇ ◇
これからの30年、我々はどこに向かっていくのでしょうか? 具体的な着地点はまだ分かりません。しかし、部分的に分かっていることがあります。
将来を構成する重要な要素の1つにテクノロジーがあります。いろいろなものが接続されネットワーク化されたシステムは生命における生態系と同じような活動空間を持ちます。それを私は「テクニウム(Technium)」と呼んでいます。
興味深いことに、このテクニウムにおいてそれぞれのテクノロジーが総体としてあるパターンを繰り返す傾向が見られるのです。この傾向を生み出すのは個々のテクノロジーの性質です。電気のスイッチ、シリコンチップ、電波、配線といった物理的な素因がシステム全体の長期的な方向を定めるのです。
12のトレンドが引き起こす不可避の変化
ですから、細部はともかくとして、長期的なトレンドは予見可能です。雨粒1つひとつの経路はランダムで予見できませんが、雨全体は重力によって下に流れるのと同じように、テクノロジーやデジタルの領域でも総体として不可避の流れはとらえることができます。
そこに私は注目して『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』という本にまとめました。この本の中で、今後30年でテクノロジーが起こす不可避的な変化を次の12の傾向で説明しています。
BECOMING(なっていく)
COGNIFYING(認知化していく)
FLOWING(流れていく)
SCREENING(画面で見ていく)
ACCESSING(接続していく)
SHARING (共有していく)
FILTERING (選別していく)
REMIXING (リミックスしていく)
INTERACTING (相互作用していく)
TRACKING (追跡していく)
QUESTIONING (質問していく)
BEGINNING (始まっていく)
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