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今がベストなタイミング、AIは電気と同じような存在になる

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月8日 16時30分

 動詞の進行形で表現しているのは、これらのトレンドが継続中であることを示しています。すでに存在するものであり、将来はこれがさらに増大していくと思います。また、これらは川の支流のようなものといえます。それぞれが自立していて、なおかつ相互依存性があるのです。

AIの認知化が深まって人間は自らの知性を問い直す

 12の傾向のうち、ここでは特に重要な3つの傾向について説明しましょう。

 最も重要なのが「COGNIFYING(認知化していく)」です。認知を深めるということは、より賢くするということです。愚かなものをより賢くする、賢いものはさらに賢くなるというものです。人工知能(AI)の世界ではすでにiPhoneでSiriに質問したり、アマゾンのEchoに質問することができますが、今後はさらに進化して医師やパラリーガル(法律事務員)、パイロットなどの役割を果たすことになるでしょう。

 AIは半世紀以上に渡って研究されてきましたが、ここへ来てこうした高度なAIが実現できたのは、並列処理機能が安価になったこと、ビッグデータの活用、深層学習アルゴリズムの改良という3つのブレークスルーがあったからです。碁を打てばクリエイティブな手で人間を負かすことができますし、写真を見せれば的確なキャプションをつけることもできる。グーグルの研究では、ビデオゲームの遊び方を教えなくてもAIが自分で遊び方を学ぶようになったと報告されています。

 これは非常に深い意味を持ちます。「人工学習」あるいは「人工スマートネス」と呼ぶべきもので、電子計算機は計算に関しては人間より賢いし、GPSは空間のナビゲーションに関して人間より長けています。また、全体的な長期の記憶も人より優れています。我々よりも秀でた知能を特定の領域で発揮するのです。我々の知能や思考と違う。ここに我々がAIを使うメリットがあります。

電通ホールで行われた講演会の様子。

【参考記事】AI時代到来「それでも仕事はなくならない」...んなわけねーだろ



多様な思考がそれぞれの種の知能を形作る。(以下の写真はいずれもケリー氏の講演で使われたスライド)

 我々の頭脳、知性に関する考え方は、いずれコペルニクス的な転回を迎えることになるでしょう。人間は汎用的で普遍的な知能を持ち、他のどんな種より有能と考えがちです。AIを作れたとしても、限られた機能しか持たないと思うかもしれません。しかし、いろいろな種類の知能を作ればどうなるでしょう。人間と協働できるAIを作り、多くの思考能力を開発していけば、ビジネスやサイエンスなど、人間の知能だけでは十分に解決できない非常に複雑な課題も解くことができるのではないでしょうか。

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