今がベストなタイミング、AIは電気と同じような存在になる
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月8日 16時30分
そのとき、人間の思考の仕方はその中心ではなく、片鱗にあるのではないかと気づくかもしれません。我々に固有の組み合わせの思考は普遍的なものでなく、狭く具体的な領域に限られたものなのかもしれない。そういう価値観の転換がコペルニクス的転回、革命ということです。
これらのAIは「異質の知性(Alien Intelligence)」ともいえるでしょう。人間と違う考えをするものとの共存が富やイノベーション、ニューエコノミーを作るうえで推進力となります。いろいろな形で違う形、違う思考法の能力を開発していくことが重要です。となると、AIはAA(Artificial Alien 人工異星人)と呼べるかもしれませんが。
AIのコモディティ化で第二の産業革命が進行
さて、異質の思考の他にもう1つ、AIがもたらす恩恵があります。それは第二の産業革命を起こしてくれるということです。
第一の産業革命は18世紀後半、人間が人工的な動力を作ったことをきっかけに起こりました。エネルギー源が人力、動物の力、自然の力から、蒸気、電気、化石燃料などに変わったのです。重要なのは、その人工動力を電力として社会に普及させたことです。
電力がコモディティになることで農場のポンプは手動式から電気式に代わり、農業生産性は飛躍的に高まりました。何百万倍にも増幅されたパワーが社会に広まって、高層ビル、高速道路、高速鉄道、飛行場、電気製品などを生み出し、我々の生活を一変させました。人工動力がイノベーションの源泉となったのです。
今直面しているのが第二の産業革命です。第一の産業革命と同じように、今あるものの性能が全て100万倍になると考えてください。それを可能にするのはAIです。例えば自動運転車は、250馬力の自動車に250の頭脳を付けるようなものです。
AIは電気と同じような存在になるでしょう。私たちが自分で作るのではなく、クラウドから必要なだけ買って好きなものに加えるのです。これがこれからの起業の方程式です。いまある何かしらのもの、すなわちXにAIを加えるのです。靴にAIを加える。椅子にAIを加える。タクシーにAIを加えたら?――Uberになります。
第二の産業革命とはそういうことです。社会のいたるところで、さまざまな形で、無数の取り組みがなされます。それがどれほどパワフルな効果を生むか、第一次産業革命に比べてどれほど大きなインパクトをもたらすか想像できるでしょう。
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