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婚外子が増えれば日本の少子化問題は解決する?

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月13日 15時0分

<日本の婚外子の割合は世界各国と比較すると極端に低い。婚外子が選択肢として認められている国ほど出生率は高くなっている>

人生にはいくつかのステージがあり、それぞれを区切るイベント(ライフイベント)がある。(1)学校卒業、(2)就職、(3)結婚、(4)出産といった出来事だ。

これらは順不同でも構わないはずだが、日本では通常「(1)→(2)→(3)→(4)」という順番を守ることが期待されている。(2)と(3)が入れ替われば「定職もないのに」と嫌味を言われ、(3)と(4)が逆になれば「結婚してないのに」と偏見を向けられる。

しかしこれは日本の慣習によるものでしかない。最近ではこれにとらわれない人も増えているし、世界に目を転じれば、4つの順序があべこべな社会は多くある。(3)の結婚(法律婚)についてはもう普遍的な考え方ですらない。

ヨーロッパでは、出生数に占める婚外子の割合が高い。フランスやスウェーデンでは、生まれてくる子どもの半数以上が婚外子だ。<図1>は、2014年の42カ国の統計を高い順に並べたものだ。

【参考記事】都政と国政の混同で、東京は選択機会を逸した



日本や韓国ではごくわずかだが、中南米やヨーロッパでは半分以上という国が結構ある。北欧や西欧では事実婚が幅を利かせているためだ。フランスでは56.7%、スウェーデンでは54.6%が婚外子だが、何ら差別を被ることはなく、婚内子と同等の権利が保障されている。



日本でも2013年の民法改正により、遺産相続での婚外子の差別規定は撤廃されたが、社会的な偏見はまだまだ強いのが現実だろう。

なお、各国の婚外子の割合と出生率には相関関係が認められる。横軸に婚外子の割合、縦軸に合計特殊出生率を取った座標上に、両方が分かる35カ国を配置すると<図2>のようになる。「瑞」は、スウェーデンを指す。



データのばらつきはあるが、2つの指標の間にはプラスの相関関係が見られる(相関係数は+0.5053)。おおむね婚外子の割合が高い国ほど出生率が高い傾向にある。

これが因果関係を意味するとは限らないが、結婚(法律婚)をしなくても子を産める選択肢が開けている国ほど出生率が高い、というのは道理だ。2005年の『国民生活白書』では、「欧米諸国においては、法律婚以外の形での結び付きが一般化していることや、それに伴う婚外子の出生率が高くなっていることなどが、合計特殊出生率の低下に歯止めをかける要因となっている」と指摘されている。

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