1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

中国の「監視社会化」を考える(5)──道具的合理性が暴走するとき

ニューズウィーク日本版 / 2019年2月27日 13時26分

ニューヨークタイムズなど英語圏の有力メディアの報道によると、新疆南部のカシュガル市や、ホータン地区ケリヤ県の収容施設とみられる建物の近くに工場が次々建設されており、施設に収容されたウイグル人やカザフ人などのテュルク系住民がそれらの工場でアパレルの縫製や、お茶の袋詰め、電子機器のアセンブリーなどに労働力として動員されているといいます(3)。

報道によると、それらの人々は一旦収容施設で「再教育」を受けた後、政府が定めた最低賃金すれすれの賃金で上記のような単純労働に従事させられています。労働者は、工場を去ることも、家族と連絡をとることも許されておらず、実質的な強制労働となっているのではないかという疑いが持たれています。また、そういった単純な労働に従事させられている被収容者の中にはかなりの高学歴を持つ人たちも含まれているということです。特にアパレル産業は新疆南部における雇用創設と貧困解消の「目玉」として政府の全面的な支援を受けていることが、中国の政府系メディアの報道などによっても確かめられます(4)。



(1)「《新疆ウイグル自治区去極端化条例》公布施行」『観察者』2018年10月10日 (https://www.guancha.cn/politics/2018_10_10_474949.shtml)
(2)安田峰俊(2019)「新疆ウイグル「絶望旅行」を終えて帰国した大学生の本音」『現代ビジネス』2019年1月12日(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59336)、林毅(2018)「漢人の天国、少数民族の地獄。「多様な」街 南新疆カシュガルレポート」『辺境通信』2018年11月7日など。
(3)"China's Detention Camps for Muslims Turn to Forced Labor," New York Times, Dec. 16, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/16/world/asia/xinjiang-china-forced-labor-camps-uighurs.html, "Forced labour being used in China's 're-education' camps," Financial Times, Dec. 16, 2018など。
(4)「新疆:重点支持南疆紡織服装産業発展」『中国商務新聞網』2017年8月4日(http://baijiahao.baidu.com/s?id=1597958508580666176&wfr=spider&for=pc)、 「新疆纺织服装产业强力带动南疆富余劳动力就业增收」新疆ウイグル自治区人民政府ウェブサイト、2018年4月23日(http://www.xinjiang.gov.cn/2018/04/23/148919.html)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください