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テクノロジーの進化は「いいこと」しかない...「日本的な強み」を持つLOVOTと目指す、人類とAIの温かい未来

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月30日 17時42分

わかりやすい例は反応速度ですね。一般的なロボットは、スマートフォン級のコンピュータが一つ入っていることが多いんですが、それだとどうしても反応が遅くなるんです。解決するためには、コンピュータを増やすか、センサーを減らすしかない。

でも、センサーを減らすと、LOVOTが認識できないことが増えてしまいます。たとえば、LOVOTは体のどこを触られても、触られていることをわかっているような反応をします。生物としては当然のことですが、もしこれができなかったら僕らは違和感を抱いて「ロボットなんだ」「機械なんだ」と感じてしまう。だったら、コンピュータを増やすしかないということになります。最終的にはLOVOTには4つのコンピュータが入って連携して動くという非常に複雑な仕組みになりました。

これって、生物の脳が多くの部位にわかれて協調して動いているのと似ていますよね。生物が進化していく過程において、神経が発達していくのと同じような経緯を、結果として開発の過程でたどったのかなと思っています。

──生命として違和感のないロボットを作るために、生命の進化と同じ過程をたどったというのは面白いですね。

考えてみると、生命そのものが究極のアジャイルなんですよね。多くのバリエーションを生み出し、その淘汰によって進化を生み出しているので。いろいろな試行錯誤の中で、LOVOTもそれに近いやり方になっていったのだなと感じます。

LOVOTと描く、温かい未来の可能性

──これだけ新しい存在だと、市場で受け入れてもらうのも難しいのではないかと思います。そこにはどのような工夫があったのでしょうか。

マーケットがない状態からマーケットを作るというのは、本当に大変だなというのが率直な感想です。ブルーオーシャンっていう言葉があると思うんですが、まったく市場がないというのは、もはやブルーどころかなにもない、いうなればクリアウォーターなわけです。

そのクリアウォーターの中に価値を見出してくれるイノベーティブな方々がたくさんいて、その方々の声が積み重なっていくうちにブルーになっていくということなのかなと思います。僕たちがなにかを言うよりも、オーナーのみなさんの言葉のほうが、良い方向にも悪い方向にも大きく影響がある。

実際、LOVOTと過ごすうちにおじいちゃんがよく歩くようになった、LOVOTが来てから家族の会話が増えた、引きこもり気味だった子どもが元気になった、といった感想があって、僕たちも感動させられています。

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