アプリの罠、不倫の甘い蜜。求めても求めても私を貪るのは
OTONA SALONE / 2021年4月6日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
また、相手が既婚者なの?マッチングアプリを使う女性は
実家の自営業を手伝っているKさんは35歳。目を引くような派手な見た目ではないが、いつも柔和な笑顔でおっとりした話し方が特徴の独身女性だった。
婚歴はなく、彼氏ももう5年はいないと聞いているが、会うと女性らしさを忘れないファッションで素敵だなと感じていた。
その日、Kさんから話があると言われて待ち合わせたカフェで、
「あの、おかしな相談なのですが」
と彼女がおそるおそる口を開いたときも、マスクを外した唇はグロスのつややかな光を浮かべていた。
「アプリで出会った人に、その、嘘をつかれていて……」
落ち着きなく視線を動かしながらKさんは続ける。
「どんな嘘ですか?」
アプリならそんなことは日常茶飯事だろうなと思いながら答えると、
「実は既婚だって」
Kさんは下を向き、小声で言った。
「……」
そのとき、正直に言えば“またか”と“やっぱり”が同居したような感慨だった。
マッチングアプリを使うKさんから話を聞きはじめて長いが、出会う男性のほとんどが既婚者だった。
私は独身男性を求めているんです。なのに……
「実家の仕事では事務作業ばかりで外に出る機会がない。
出会いが望めないから仕方なくマッチングアプリを使っています」
はじめて取材したとき、Kさんはうつむいてそう答えていた。
“出会い系”と言われていた昔と違い、今はマッチングアプリで出会いを探すのは自然なことで、それ自体別に恥ずかしがる必要はないと思ったが、そう言うと
「いえ、その……。
使うのはいいんですけど、知り合うのが結婚している男ばかりで……」
と、Kさんは口ごもりながら話してくれた。
独身男性と出会いたいが、メッセージをくれる人のほとんどが既婚者であること、独身でもお互いの条件が合わずにやり取りが続かないこと、また出会った人が知り合いの可能性があるとすぐにブロックしてしまうこと。
「最初は既婚って隠しているんですよ。
仲良くなって、いざ会おうかってときになって『実は……』って言われて、そこで断っていました」
“アプリってこんなものなのか”という失望を覚えながら、Kさんは気が合いそうな独身男性を求めて利用を続けていたそうだ。
だが、ある男性との出会いが、「一線を超えるきっかけになった」という。
「その人とは、どうしても会いたくなってしまって」
「会ってみてもいいかな」という油断がおかしな気を引き起こす
その男性は、Kさんが昔いた業界で仕事をしており、懐かしさから話がはずんだそうだ。
「ちょっと特殊なんですけど、私とまったく同じ業務内容だったから理解できることが多くて。
向こうも女性がこれをしていたっていうのが珍しいみたいで、いろいろと話してくれました」
それ以外にも、返信を急かさないところや今のKさんの仕事を応援してくれること、趣味などでも話が合い、自然と会ってみようかという流れになった。
そこで“いつものように”実は既婚だと明かされたが、Kさんは構わずに会ったそうだ。
「考えてみれば、別に既婚者でも会うくらいなら問題ないじゃないですか」
自分に言い聞かせるようにKさんが口にしたのを覚えているが、結局この「会ってみてもいいかな」という気の緩みが、道を踏み外す最初の一歩になった。
ドキドキしながら待ち合わせた日、Kさんの前に現れた彼は送ってくれた写真通りの姿で、緊張しながらもしっかりKさんをエスコートしくれて、楽しいランチを過ごした。
アプリでも実際に会っても彼にいい印象を持ったKさんは、それからLINEのIDを交換し、何度か約束して昼間の時間帯に会っていた。
一ヶ月ほどそんな付き合いが続いていたが、
「男の人とふたりきりで過ごすのが久しぶりなせいもあるのですが、楽しくていつも笑顔でいられたんですね。
もっと会いたいなと思うようになって」
と、Kさんのほうから積極的に彼と会うようになった。
ふたりでいるときの様子を聞くと、既婚であることをことさら彼が気になる様子がなかったのも、Kさんのテンションを上げていたのだと思う。
そして、“そのとき”が訪れた。
狙われたのか、あるいは“狙ってもらいたかった”のか
はじめて彼のほうから夜の居酒屋に誘われたとき、Kさんは
「……先に進める、と思いました。
さすがに私のほうからは誘いづらかったし、彼がその気になってくれたのがうれしくて……」
と、昼間の健全なつながりから色気を含んだ夜の時間帯を選んでくれた彼の気持ちを想像したそうだ。
「ええと、“そういうこと”になるって、わかっていたと?」
当時、取材で会ったKさんは、最初こそもじもじと恥じらう様子を見せていたが、話が進むにつれ頬は上気し、目は輝きを帯びて饒舌になっていた。
「はい。
狙ってくれるかな、と。
夜に会うって、そういうサインだったりしません?」
彼が既婚者であること、肉体関係を持てば不倫になることは、おそらくそのときのKさんの頭にはなかっただろう。
消えてはいないとしても、望んだ時点でそんな“下心“は色濃いオーラとなって必ず出る。
そしてそれを見逃さないのが、結婚していながらお酒の入った席に独身女性を誘う既婚男性のリアルなのだ。
Kさんの“願い”は届き、その夜彼とホテルに行った。
不倫関係となってからは、約束の仕方は今までとがらっと変わり、昼でも夜でも彼の空いた時間に誘われて出ていくような状態になった。
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