貧しくなる日本で「給料が減り続ける人」だけが知らないお金の技術
OTONA SALONE / 2022年1月13日 12時5分
その昔、預金や貯金をしていると、どのくらいの金利が年間で付いていたかご存知でしょうか。
今では考えられないほどの高い金利です。当時は国営だった郵便貯金に定額貯金(半年複利で10年運用が可能な貯金)を10年運用する場合の利回りは、日銀「経済金融月報」によれば、1974〜75年あたり、1980〜81年あたりでは、何と12%、通常貯金でも同時期に8%という高金利でした。
ちなみに、一般銀行の普通預金の金利を確認すると、4〜5%程度と郵貯の半分くらいですが、それでも今から見れば夢のような金利でした。
「預金をしてもお金は増えない」むしろ手数料で損をする
ちなみに日本の大手都市銀行の普通預金に預けた場合の金利は、2021年11月末現在0.001%で、低金利であることはご周知の通りです。誰もが預金をすることでお金を増やそうと思っていない、そんな時代です。
しかもコロナの影響で世界的な経済打撃を受けたことで年収も減った方も多いことでしょう。またコロナ禍は長引き、新種型コロナウィルスも次々と発生している中で、リモートワークが増えたり、また自宅にいる時間も増えたりしても、日常生活は送っていかなくてなりません。そうした中で少しずつ関心が高まってきたのが「資産運用」や「投資」です。
コロナ以降、資産運用を始める人がどんどん増えている
実際に証券会社に口座開設をして資産運用をはじめる人が増加しています。次のグラフをご覧ください。特にコロナが世界的に蔓延し、日本でも感染者が増えてきたと話題になった2020年3月以降(黄色)から証券口座数が増えていることがわかります。
データ出所:日本証券業協会「会員の主要勘定及び顧客口座数等」より作成
証券口座開設が増えていることは嬉しい限りですが、この口座を上手に活用していく必要があります。では、資産運用の初心者は、どのように投資を始めれば良いのでしょうか。
まずは最低限の学習です。資産運用や投資に関する初歩的な本を1冊読んでください。自分が少し読み進めて、「これなら最後まで読めそうだ」というものでO Kです。
交通ルールが最低限わかっていないと、自動車や自転車を運転せずに歩く人だって事故に遭遇する確率が高くなってしまいます。資産運用も最低限のルールを知り、あとは実践を積めば決して怖いものはありませんし、あなたにとって逆に便利なツールになることでしょう。
そうした中で、最近耳にすることが多くなったのがNISAです。投資経験者だけでなく、未経験者だからこそ活用してほしいポイントがあります。次はそのNISAについてお伝えします。
投資初心者が関心を寄せるNISA、その正体は?
実は、投資に興味を持っている方の多くが証券口座を開設すると同時に、活用したい1つにNISA口座というものがあります。NISAとは、Nippon Individual Savings Accountの頭文字をとったもので、2014年1月からはじまった少額投資非課税制度のことです。先駆けて1999年4月にはじまった英国のISA(イーサ:Individual Savings Account)をモデルとして日本版イーサとして誕生したのがこのNISA(少額投資非課税制度)です。
NISAには種類があります。年間120万円の元手資金に対して発生した利益の税金が合計5年間非課税になる(120万円×5年=600万円まで)一般NISAと毎年40万円の積立資金から発生した利益の税金が合計20年間非課税になる(40万円×20年=800万円まで)制度(他にも子ども向けのジュニアNISAがありますが、ここでは割愛します)があります。
現行法はどちらか一方を選ぶことになりますが、2024年からは新NISAとして両タイプを組み合わせたNISAとなります。とはいえ、まだしばらくは現行のままですので、自分にとって使いやすい方法を選んで利用すると良いでしょう。
このNISAの口座活用も非常に増えています。NISAは1人1口座しか持つことができません。金融機関の変更は年に1度できますが、手続きの面倒を考えれば最初から自分に合った証券会社に証券口座を開き、その上でNISA口座を設定すると良いでしょう。
NISAを「本当に始めている人」は誰なのか?意外な事実
次のグラフは、NISA口座開設数の推移です。2014年からはじまった一般NISAが青色、2018年からはじまった積立NISAが緑色になります。
出所:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)について」
どちらも毎年増加していることは一目瞭然です。次のグラフは、NISA口座の投資未経験者の割合を示したものです。
出所:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)について」
2014年の開始当初の投資未経験者は15.6%と少なかったわけですが、一般NISAでは45.3%までその割合は増加しており、つみたてNISAに関しては、85.7%と大半が投資未経験者なのです。ここからわかることは、投資未経験者の多くの方が、投資が必要と感じ、向き合い出しているということです。では次のグラフをご覧ください。
今や投資はギャンブルではなく「時間経過を味方につける技術」
こちらはNISA口座数の年齢別内訳です。20代、30代、40代の方は、一般NISAよりもつみたてNISAの方が多いことがわかると思います。
出所:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年6月30日現在)について」
今や人生100年時代と呼ばれ、健康寿命も寿命そのものも伸びていることもあり、資産を運用できる期間も長期化しているのがその背景です。40代投資家初心者であっても、NISAによる投資の非課税制度を上手に活用して、資産をしっかりと積み立てることを意識している方が多いのです。では50代前後またはそれ以上でNISAを活用するのが遅いのかと言われると、決してそんなことはありません。非課税制度は存分に活用する価値はあります。
何はともあれ、資産運用や投資をするのであれば、いつでも実践できる場が必要です。あなたがいくら優秀なコックや料理専門家に料理を教わっても、それだけで料理が上手になることはありません。何度も、何度も同じ料理を作って、時に失敗を経験してはじめて上手になるのです。
資産運用や投資も経験が大事です。習ったら慣れる場が必要です。ではどのように商品選びをすればいいのかということについては、次のコラムでお伝えしたいと思います。
文・監修/市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産運用設計業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。
1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。
「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。
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