モラハラ夫は否定しかしない。家庭に「心理的安全性」がないがゆえに、嘘や隠し事をせざるおえなくなるという現実
OTONA SALONE / 2024年3月17日 21時1分
夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。結婚前はいつも自分のことを認め、褒めてくれていた夫だったのに結婚後は真逆になってしまったことで悩んでいる女性は少なくありません。それがモラハラだとわかっても、経済的理由や子どもの養育の問題で離婚を決断できない方が多いのも現状です。モラハラの闇はとても深いものです。そんなモラハラについて長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。
今回は何を話しても夫は必ず否定するので、夫には何も相談できない、夫には何も言えないというS子さんのお話の【後編】です。S子さんは夫の否定や文句や暴言に悩まされ体調までおかしくなってしまっています。
▶この記事の【前編】を読む▶モラハラ夫は全てを否定する。否定されるとわかるから何もいえない。反論しても、かえって「自分は価値がない」と思い込まされてしまうもモラハラの罪深さについてお伝えしています。
夫の否定から生まれた妻の自尊心の低下
S子さんは毎日夫に怒られないように、夫に認めてもらえるように掃除も家事も頑張っていました。それでも夫は毎回どんなことにも否定したそうです。例えば、妻:「今日は旬のカブを使ってそぼろ煮を作ってみたの。どうかな?」
夫:「味がない。味見したのか?」
妻:「え?薄い?美味しいはずなんだけど」
夫:「味覚がイカれてないか?こんなので美味しいなんて主婦失格だな」
といった具合に、S子さんが頑張ったことに対して、認めることもせずに必ず否定をする夫。絶対に美味しくできたと思っていた料理を否定されると、本当に自分は味覚音痴なのかもしれないと自分を疑い出すようになったとS子さんは語ります。
また、S子さんは家の中の整理整頓も心掛け、SNSで見た収納方法などを取り入れいつも家の中は整然と綺麗にまとまるようにしていたそうです。
『これも料理と同じように、私が自信をもって胸を張れる家事仕事の一つでした。でも、夫は「家にいても落ち着かない。生活感がない。家に帰りたくなくなる家だ」と私の整理整頓全てを否定するのです。そんなこと気にしなければいいと思ったのですが、そんな言葉も私を全否定されたようで自分に対しての自信は一切なくなっていました』
このような夫の否定的な言葉は、妻の自己肯定感をなくしてしまいます。否定は、人間の心に深い傷を残す力を持っています。それは自己肯定感を消失させ、自分に対する自信も一切なくしてしまうのです。否定され続けることで、妻が自分自身を疑い、自分の感情や判断を信じられなくなるので、自分を疑い自分の意見を夫に伝えることさえも怖くなっていくのです。こんな状態が続くと妻が孤独感と絶望感を感じるようになり、身体的にも影響が出てくるようになります。
ついに体の不調が表面化。やっと自分が普通の状態でないことに気がつく
S子さんは徐々に体調が良くない日が続くようになりました。朝起きるのも辛い、いつも体がだるい、頭痛がひどい、夜も眠れない、動悸が突然速くなるなど。今までの人生の中でS子さんが感じた時もないほどの体調悪化でした。
『夫に相談をしても相手にしてもらえないのはわかりきっていましたが「本当に体調が悪いので病院に行ってくる」と言っても「怠け病だ」と言われただけでした。それでも流石に自分は普通の状態ではないと思ったので、病院に行きました。私の話を聞き、診断してくれた先生からは過度のストレスから起きる身体的症状と言われました。このままではうつ病になってしまうと言われ、自分が限界だったことに気がつきました』
否定され続けることで精神的、肉体的症状が発症するのです。
精神的症状には、
- 自己評価の低下: 自分自身の能力や価値を過小評価する
- 自己嫌悪:自分自身を否定し、自分の存在そのものを嫌う感情
- 無価値観:自分がダメな人間だと感じ存在しなくてもいいと思う、などの症状が発症しうつ病に移行します。
肉体的な症状は
- 疲労感: 精神的なストレスは肉体的な疲労感
- 睡眠障害: 睡眠の質が低下したり、不眠症や過眠症
- 食欲不振: ストレスは食欲に影響を及ぼします。
毎日否定され続け、自分のやることを認めてもらえないS子さんはもう限界だったのです。
否定され続けることは、精神的なストレスや心理的な負担を引き起こし、これが身体的な不調につながる可能性があります。
S子さんは夫に否定され続け精神的にも肉体的にも追い詰められてしまっていました。
毎日の頭痛とだるさが続き、薬を飲んでも治らない、ずっと寝込んでいたのでついにS子さんは医師から入院を勧められました。すると夫は、
「俺の飯は誰が作るんだ」「洗濯はどうするんだ」「家の掃除はどうなるんだ」とS子さんの体の心配は一切せずに、自分が生活しにくくなることに対して文句を言い続けてたといいます。
『さすがに子ども達は父親の言うことがおかしすぎると思ったのか「そんなことは自分できるでしょう。それよりもお母さんの体調を考えてよ」と言ってくれました。でも夫は「入院なんてサボっているんだ」「普通家庭が心配だったら自力で体調なんて治す」とまだ言い続けているのでした。子ども達から「お母さんは自分を大切にすることを優先して」と言われたことをきっかけに、入院中に退院後は夫の元に帰らないでいいように両親や兄妹に連絡をとり、自分を守ることを考えられるようになりました。』
S子さんは退院後に実家に身を寄せられたので、夫の元には帰らずに心の療養をすることができました。その後色々と揉め続けましたが離婚が決まり、今は少しづつですが未来の希望を持って生活ができるようになりました。
否定され続けるモラハラは、暴力がないからと我慢し続けていても心は確実に病んでしまいます。モラ夫の言葉を心に入れないか、別れるかを専門家と一緒に考えていってください。
≪モラハラカウンセラー 麻野祐香さんの他の記事をチェック!≫
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