世界大会で初優勝! パリ切符を手にしたゴールボール男子日本代表コメント速報
パラサポWEB / 2023年8月28日 18時31分
歓喜の瞬間、日本代表選手たちが雄たけびを上げた。8月27日、「バーミンガム2023IBSAワールドゲームズ」ゴールボール男子決勝。優勝したチームのみが優勝すればパリ2024パラリンピック出場の権利を得られる大一番で、日本代表は躍動した。
「バーミンガム2023IBSAワールドゲームズ」で優勝したゴールボール男子日本代表予選を5勝1敗2位通過の日本代表は、準々決勝を勝ち上がると、準決勝のウクライナ戦でリードを許すものの残り48秒。攻撃陣3人が同時に走るフェイクで宮食行次が得点。チーム層の厚い日本代表は、ゴールデンゴール方式の延長戦でも攻撃の手を緩めることなく、押せ押せムード。ライトの佐野優人が決めて決勝にコマを進めた。
その勢いのまま決勝の舞台に臨んだ日本代表は、センターの田口侑治が声で盛り上げ、自分たちのペースをつくっていく。予選で勝利している韓国に対し、相手のファウルによるペナルティスローで先制し、佐野と金子和也が両ウイングから得点。3点リードで折り返した後も追加点を挙げた日本代表がそのまま7対3で勝利した。
選手とHCのコメントは以下の通り【#1】佐野優人
「どうしてもここでパラリンピック切符を獲りたかったので、優勝の瞬間はうれしくて解放された。うれしい。決勝は、終始落ち着いて自分たちのペースでできたことが勝ちにつながったと思う。今大会は中盤、点が取れず苦しかったが、情報班やウイングの選手からのアドバイスにより、テンポを上げたことで決勝トーナメントで得点を決めることができた。チームの皆に感謝しています」
準決勝で決勝弾を決めて喜びを爆発させる佐野【#2】信澤用秀
「僕自身、何かできたわけではないが、このメンバーで戦えたことにまずは感謝したい。(長い代表キャリアの中で)今の世代が最強。世界で金を獲れるチームにまでなったことが本当にうれしいし、その中に自分がいられたこともうれしい。パラリンピックで本当に金メダルを獲れるチームだと思っている。もう一度、国内に残っているメンバーと日本代表のメンバー入りを競うために切磋琢磨し合って、より強い日本チームをつくっていきたいです」
試合開始前のメンバー紹介で一歩前に出るベテランの信澤【#4】田口侑治
「優勝は男子史上、初めてで、(決勝でフル出場し)そのコートの中心(センター)でプレーできたこともあり、優勝の瞬間はなにかうれしさが爆発した。訳わかんなかったです(笑)。今日の守備は、すごく集中できてパーフェクトだった。アップから手ごたえを感じていて自信があったので結果に驚きはない。僕自身(自国開催枠で出場した)東京パラリンピックの準々決勝で中国に負け、その悔しい思いから一度引退した。優勝したことで、パラリンピックで悔しさを晴らすためのスタートラインに立てたと思うので、来年は絶対にその中国と(強豪の)ブラジルを倒し、金メダルを獲得します」
声を出してチームを鼓舞し、守備でも大きく貢献したセンターの田口【#7】金子和也
「試合前に映像班のデータをもとに話し合って選手とスタッフで作戦を立てるが、韓国はレフトとセンターの間がねらい目であり、センターの選手が出遅れがちというデータがあったので、そこを狙っていった。ただ、それだけでは点が取れないので、コートから声を出すことでベンチと連動し、逆をついたり、ポスト際に投げるなどし、それがうまくいった。予選ではライトの佐野がいいときに自分が振るわなかったり、その反対があったりしたが、決勝は常にふたりのコンビネーションができたことで、前半リードする展開をつくることができたように思う。優勝はできたが、攻守ともにまだまだだと感じるので、1年後のパリに向けてチームで強化していきたいです」
スピードのあるボールで畳みかけるレフトの金子【#8】宮食行次
「(決勝は後半から出場し、追加点を挙げたが)大会を通じて先発隊がすごくいい仕事をして、今日もプラン通り、ほぼ完璧な状況でバトンを渡してくれた。僕はゲームを締めるだけの立場になり、すごく落ち着いて入ることができた。ゲームが終わった瞬間は、『ああ、大会が終わったな』という気持ちになったと同時に『パリに向けての道が始まった』と感じた。ブラジル、中国など強豪と戦うには、高さのあるバウンドボールだけではなく、もっと速いグラウンダーも必要。帰国後は余韻に浸ることなく、すぐパリに向けて始動したいと考えています」
バウンドの高いボールで得点を決めたレフトの宮食【#9】川嶋悠太 ※キャプテン
「決勝の舞台でも皆いつも通りで元気に試合に入った。これまでの経験から国際大会ではポジティブな発言を心がけているし、決勝はリードしたら絶対に負けない自信があった。(決勝は出番がなく、ベンチから)安心して見ていた。(初めて自力でパラリンピック切符を獲得したことについて)元選手の市川喬一監督、工藤力也HCらが築いてきたものがあって今がある。歴史を変えようと話していたので、変えることができて本当にうれしい。パリでは金メダルを獲るしかないと思っているので、(2強の)ブラジル、中国の背中を見て強化し、追い越せるようにがんばりたいです」
キャプテンとしてもチームをまとめたセンターの川嶋【ヘッドコーチ】工藤力也
「選手たちは緊張しすぎることなく、昨夜、今朝と、決勝に向けて勝つための準備を着実にやってきた。試合では準備したものを信じてやりきるだけだったので、チーム全員がやることをシンプルに行った結果、勝ちきれたと思う。僕が現役選手だったときは、世界大会の舞台に立つことすら難しかった。日本国内での練習環境などが整ったことで、選手たちのレベル、パフォーマンスが上がった。今回の結果で世界のベスト5に確実に入れるチームになったことを証明できたと思うので、パリまであと1年は、上を見て準備をしていきたいです」
元男子日本代表選手の工藤ヘッドコー千<予選>
20日 対フィンランド 10-5〇
21日 対エジプト 9-2〇
22日 対韓国 6-5〇
23日 対リトアニア 3-10●
23日 対イギリス 11-2〇
24日 対ドイツ 9-4〇
<決勝トーナメント>
25日 準々決勝 対アメリカ 5-1〇
26日 準決勝 対ウクライナ 4-3〇
27日 決勝 対韓国 7-3〇
text & photo by Asuka Senaga
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