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ジム・ロジャーズ初公開! 自ら実践、儲かる株情報の読み方

プレジデントオンライン / 2015年8月10日 12時15分

ジム・ロジャーズ氏

ウォール街の生きる伝説にして、マネーとマーケットを熟知する「投資の神様」。決算書、財務諸表の数字の読み方から、分析方法、思考法、情報収集術まで、自身で実践してきたノウハウが明かされた!

■この数値に注目せよ!

投資で財を成すのは簡単なことではない。私も過去に大失敗を経験し、何もかも失ったことがある。今でもすべての投資に成功するわけではない。いくら慎重にかつ大胆に投資しても間違いをおかすことがある。しかし総合的にみると大成功しているといえるだろう。私が日頃から心がけていることを読者に伝授しよう。

何に投資すればいいかという質問を絶えず受けるが、私の答えはいつも同じである。誰の言うことも信じてはいけない。あなた自身がよく知っているものだけに投資するのが成功への道なのである。

自分の得意分野、関心がある分野をつくることが重要だ。興味を持っていると関連情報については日頃から敏感になる。新商品が出る場合でもすぐに気付く。その商品が独自な商品かどうか、似たような商品があるかどうかも、関心を持っている分野であれば簡単にわかる。新聞や雑誌を読んでも関心があるものは必ず目にとまるからだ。新しい発明が起こった場合でも、それがどれくらいの価値があるかは自分が得意とする分野でないとわからない。

もし、あなたが車マニアなら、自動車業界に関するあらゆる本、記事、資料を片っ端から読んでいこう。何か前向きで大きな変化が起ころうとしているときには気付くはずだ。気付いたら、それを追跡すること。常に追跡していないとその価値を把握するのは難しくなる。暇さえあれば何かを読んで情報を集めよう。

私は日々起きていることについての情報は、フィナンシャル・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルを読んで得ている。チェックしているのは中央銀行と金利の動きである。通貨の動き、商品市場の動きに関するニュースも必ず読む。

企業の年次報告書は多くのことを語る。それを詳細に分析することも重要である。私はまず「利益率」を見ている。その企業に競争力があるかどうかがわかるからだ。利益率は高いほうがもちろんいいが、低いからその企業の調子がよくないということには必ずしもならない。過去からの推移を調べたうえで、利益率の上下が激しく、現在の利益率が低い状況にあれば、投資すべきだと判断する。利益率が上がり、株価が上昇する可能性は高いからだ。

その企業の利益率が高くても、借金がたくさんあれば長続きしないと判断し、空売りをする。数字に弱いとそういうときに株を買い続けてしまうことになりかねない。会社がどれくらい借金を持っているかを調べるために、私が確認している数字は自己資本に対する負債の比率を示す「負債資本比率」である。

複数社の利益率を比較したとき、同じ程度の利益率なら、投資したお金に対してリターンが高いほうを選ぶ。私はこれを調べるために「株主資本利益率」についてもチェックしている。

■誰の言うことも信じてはいけない

このように投資には企業のお金の流れを把握することが欠かせない。その企業の財務状況を正しく知るためには数字に強くなければならない。もしあなたが数字に弱ければ、強くなるまで投資をするべきではない。最終的に投資するかどうかを決めるのは数字なのである。

同時に自分が関心を持つ分野の業界誌を丁寧に読むことも重要である。そこには競合製品についての情報が掲載されている。もしあなたがファッションに関心があれば、綿やウールなど、服をつくるのに必要な素材の価格に何が起きているかを知っておかなければならない。皮革の価格も把握しておかなければならない。皮革に取って代わる素材についての知識も必要である。

さらに企業のCEOやその同業者がどういう媒体から情報を得ているかを知ることも重要である。彼らが読んでいる業界誌や情報にも目を通しておけば、彼らの次なる動きを読むこともできるようになる。

こんなにも情報収集するのは自分には無理だと嘆く人もいるだろう。安心していい。現代の投資家には上場投資信託(ETF)というものがある。20年ほど前に登場したもので、今では世界中にたくさんの商品が出回っている。たとえば、ある新興市場がバブルだと見たら、新興市場のETF(新興市場の金融商品をひとまとめにしたもの)を空売りすればいいのである。これなら腰を据えて年次報告書のページを繰り、何百という企業の経営を評価する必要はない。エネルギーなど分野別に特化したETFもたくさん存在する。ETFは世界をシンプルにしているといえるだろう。

■10年後、資産が10倍になったら

さて、情報を集めたら投資すべきかどうか結論を出さなければならない。それから何が導き出せるのか考えてみよう。考えるときにはきちんと整理して考える癖をつけること。これは新しいもの、これはちょっと違うもの、これは方向転換、といったふうに。新しいものや違ったものはいずれ大きな結果をもたらす。いろいろな見地から物事を考える習慣をつければ、誰よりも早くよい兆しに気付き、買うべきタイミングも、売るべきタイミングもわかるはずだ。

大きな武器になるのは思考法である。私はオックスフォード大学で哲学を勉強したが、そのときに抽象的な思考法を教えられ、ずいぶんと思考力が鍛えられた。思考法には主に2種類ある。事実から結論を導く帰納法と論理から結論を導く演繹法だ。投資家にとってはどちらも重要である。私はこの思考法によって「株式が強いときは商品市場が弱く、株式が弱いときは商品市場が強い」理由がわかった。過去のマーケットを観察することで、株式市場と商品市場の間で、上昇トレンドが入れ替わることに気付いた。過去の例でいえば、15年から23年程度のサイクルで交代が起きていた。

私は純粋な論理を基に考えることで、この理由に気付いた。メーカーを例に考えてみよう。原料価格が下がれば、メーカーの利益はその分増える。つまり株価も上がる。逆に原料価格が上昇する局面では、利益が減って株価は下げやすい。この関係があるから、株式が強い時期は商品市場が弱く、株式が弱い時期は商品市場が強くなるわけだ。このように、哲学的な思考法を身につけることで、世界で起きていることを冷静に正しく理解できるようになる。

これまで述べてきたことをあなたが実行したとしよう。10年後、あなたの資産は10倍になったので、今度は売ることにした。そのときが危険なのである。多くの人が勘違いしている。何もしないことが一番賢明という場合が時としてあるのだ。類いまれな成功を収めた投資家たちは、実は大半の時間をなにもせずに過ごしている。株を買ったら10年間は何もしない、事の成り行きを、世の中の変化をただ見守るのである。

大金を手に入れたいなら分散投資に抗うべきだ。投資は分散すべきだとアドバイスを受けることが多いだろう。しかしそれでは破産はしないものの、大金も手にできない。1970年も一次産品を買って10年間保有し、80年にそれを売って日本株を買い、90年にそれを売ってテクノロジー関連株を買い、2000年にそれを売っていたら、あなたは今頃大富豪になっていただろう。70年に投資を分散していたなら、ここ30年、ちっとも儲からなかったはずである。分散投資は安全だが、リッチにはなれないのだ。

だが先にも言ったように、私の言うことに耳を貸さないでほしい。あなた自身が知っていることをひたすら追い続けることが成功の近道なのだから。

■理解度チェック! 金持ちになれるのは、どっち?

※答えは本文中にあります

Q1 投資先はどっち?
A:成長業界
B:自分が好きな業界

Q2 プロから投資先のアドバイスをもらったらどうする?
A:信じる
B:信じない

Q3 株の買い方はどっち?
A:複数の銘柄に投資する
B:1銘柄に資金を集中させる

Q4 投資スタイルはどっち?
A:じっと見守る
B:売買を繰り返す

Q5 いい会社かどうかは、どの数字で判断する?
A:売上高
B:利益率

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Jim Rogers(ジム・ロジャーズ)
イェール大学卒、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロス氏と投資会社クォンタム・ファンドを設立し、驚異的なリターンを上げる。37歳で引退し、世界を旅する。2007年、一家でシンガポールへ移住。

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(投資家 ジム・ロジャーズ インタビュー、構成=大野和基 撮影=的野弘路)

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