「バフェット流」月3000円からの投資術
プレジデントオンライン / 2018年9月21日 9時15分
■ただ貯金するより、3倍近い金額に
「資産形成は一刻も早く始めるに越したことはありません」
そう強調するのは経済評論家で個人投資家の加谷珪一氏だ。
十分な手元資金がなくても心配はいらない。月々の投資額がたとえ3000円でも、長期間の積立投資を続けられれば大きな違いを生む。そこで参考になるのが、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットの投資法だ。
「バフェット氏は流行り廃りのない、超優良銘柄を選びます。たとえばコカ・コーラ、ウォルマート、ウェルズファーゴ(米国の地銀大手)など、人々の消費生活の基礎になっている企業なら安定成長が見込めます。いわゆる内需銘柄への投資が多いのが特徴です」
バフェットの投資スタンスで日本株を選ぶならどんな銘柄になるか。
「日本の経済は製造業中心の輸出主導から内需経済に移ってきていますから、主力銘柄が変わりつつあります。それでも、いまだにトヨタの株は超優良銘柄です」
ほかに、EV化の追い風を受ける日本電産やIoTの代表銘柄であるTDKもオススメだという。
「株式投資の基本はバフェットも好む『バイ&ホールド』です。長期間保有し続け、短期の値動きではなく、長期的なリターンを狙います。値上がりしたとき、心理的に揺さぶられないためにも、持ち続けていようと思える配当が出る銘柄を選びましょう」
では毎月3000円の投資を続けるといくらになるのか。加谷氏によると、「過去の日本株のパフォーマンスから、株式投資の利回りは年平均6%」。
これを基に試算すると、たとえば40歳の人が毎月3000円を投資に捻出すると年3万6000円。30年間続けると、70歳を迎える頃には300万円を超える計算になる。ただの貯金では108万円にしかならないことを思うと、元手が3倍近く増えるわけだ。
もちろん、リスクがゼロというわけにはいかない。
「日本の株価は、直近30年間でならすとおよそ上下25%以内のブレ幅。これを根拠に30年投資し続けると仮定すると、約3割の人が元本割れしてしまう計算になります」
これを高いと感じるか低いと感じるかは人によってさまざまかもしれない。だが加谷氏は続けて言う。
「逆に言えば、約7割の人は元本割れを起こしません。さらに上手くいけば約3割の人が300万円をはるかに上回るリターンを見込めます」
投資のコツはともかく始めてしまうことだと加谷氏は強調する。
「投資はスポーツと同じで長く練習した人の勝ち。まず勉強してからと考える人も多いですが、たとえば野球を始めるなら、最初に本を買って勉強する人はいませんよね。習うより慣れろ、です」
■習慣化できれば、成功したも同然
一方、3000円では銘柄選びも限られるし、難しいと感じる人も多いだろう。
そうした場合に加谷氏が勧めるのはETF(上場投資信託)、つまりインデックス型の投資信託だ。日経平均やTOPIXの動きに連動するため、値動きがわかりやすく、毎月決まった金額を積立投資しやすい。
ETFの平均的な利回りは約5%。個別銘柄よりは手数料が1%程度かかるとはいえ、月々3000円の積立投資を10年続ければ50万円弱、18年では100万円以上に増やせるのは魅力。
「ETFで手堅く始めて、ある程度の金額が貯まってから個別銘柄に切り替えるのも一案です」
そのうえで、長期投資で留意すべきタイミングが2つある。1つは株価が下がったときだ。
「株価が下がれば取得コストも下がるため、本来は買い増しのチャンスです。ところが、気持ちが萎えてしまうのか、売りたくなってしまう人が意外と多い。長期投資でこれをやったらアウトです」
こうした意味でも、毎月3000円と決めて積立投資を続けるのは堅い戦略と言えるだろう。
「必ず投資するという習慣さえ続けられれば、長期投資のかなりの部分は成功したも同然です」
毎月コツコツ積立投資を続けていれば、あとは定期的にポートフォリオを見直すだけでいい。これがもう1つのタイミングである「リバランス(資産の再配分)」だ。
加谷氏は3~5年に1度リバランスを行い、約2割の銘柄を入れ替えるという。
「いくら優良株を選んだつもりでも、1つの企業が未来永劫ベストな状態であり続ける保証はありません。ある程度の利益が出たところで、そろそろピークかなと思ったら売り、新しい銘柄を仕入れるようにしています。バフェット氏も定期的なリバランスをしているはずです」
短期的な値動きに惑わされずに積み立てを続け、定期的にリバランスを行う。この継続のコツさえつかめれば、月々の3000円がやがて大きく化けるのも夢ではない。
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経済評論家
日経BP社、野村証券系投資ファンド運用会社を経て独立。億単位のお金を動かす個人投資家としても知られる。著書に『最強のお金運用術』など。
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(小島 和子 撮影=大沢尚芳 写真=時事通信フォト)
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