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橋下徹"小泉進次郎氏でも脱自民は難しい"

プレジデントオンライン / 2018年9月26日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/oatawa)

「地方から『風』を起こせ」と説く新著『政権奪取論』(朝日新書)が話題の橋下徹氏に読者から質問が届いた。「霞が関の役人ですが、地方の首長になって『風』を起こしたいと思います。地盤も看板もないので、自民党に力を借りるか、自分で地域政党を作るか迷っています。どうすればいいですか?」。橋下氏はどう答えるか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月25日配信)より、抜粋記事をお届けします――。

(略)

■友人、知人の手伝いだけでは選挙を戦えない

「『風』は地方から起こせ」を実践しようとする意気込みは素晴らしい。ではそれをどう実現するか。

普通に考えると自民党の推薦をもらうことでしょう。

各地方議会では、やはり自民党が強い。首長に当選した後も、議会の協力を得なければ政策を進めることができませんからね。ただしお金までは面倒を見てくれないので、自分で用意するしかありません。あなたがよほどの実力者で、自民党の方から是非出馬して欲しいと懇願される立場であれば、自民党にお金の面倒を見てくれるように頼むこともできるかもしれません。

普通は逆に、自民党にお金を渡さなければなりません。これは違法なお金のやり取りではなく、自民党への適法な献金です。このお金は、あなたを応援するための活動費として自民党議員に配られます。

僕も大阪府知事選挙のときには、自民党から選挙期間中に2000万円の寄付を求められ、そこは交渉して半額にし、1000万円を寄付しましたよ(笑)。これは公職選挙法違反なのかどうなのか、極めてグレーと言えばグレーですが、適法ではあります。

今の選挙制度で大変なことはポスター貼りやビラ配布、そしてミニ集会の設定などです。とにかく人手が必要です。こんなのITをフル活用すれば、人手なんていらなくなるのに、古い政治家は若手政治家の参入を阻むために、IT化を進めません。旧来通りの人手のかかる選挙制度を維持します。

今の選挙制度で選挙をやろうと思えば、友人、知人の応援だけではなかなか難しい。僕の大阪府知事選挙のときにも、中学、高校の同級生が多く手伝ってくれました。これは本当に助かった。みんな自分事のように、朝から晩まで手伝ってくれました。仕事も休んでくれたりして。

だけどどうしても、プロの仕切り役も必要なんですよね。街頭演説、ポスター貼り、ビラ配り、ミニ集会などの段取りは、経験者の知恵が必要となります。その段取りの中で、集まった運動員たちが運動します。ちょうど指揮官と兵隊の関係かな。

選挙を経験したことのない人が、いきなり「指揮官」になるのは難しい。ただ経験を積めば指揮官になれるので、僕の選挙や維新の選挙をずっと手伝ってくれた人の中には、その辺の選挙コンサルタントよりもよっぽど役に立つ人がたくさんいます。

あなたがいきなり選挙に出るとして、この指揮官をどうするか、ですね。ここは自民党にある程度任せる方が効率的です。

■「俺は○○票持っている」と言う人のほとんどは口だけだ

ただし、自民党は「自分党」。基本的に、自民党の議員たちは自分たちにメリットになることしかやりません。あなたを応援して、自分に何のメリットがあるのか。ここをシビアに見られます。

あなたを当選させたとして、今後あなたの近くで権力行使に関与できるのか。あなたを応援することで、それが自分の知名度を上げ、今後の選挙に有利になるのか。ここをしっかりと見るのが自民党の議員たちです。これはある意味、自民党の強さでもあります。

ですから、あなたが当選後、自分の思いを基本に、思い切った政治行政をやりたいというなら、選挙運動において自民党とどれくらいの距離を取るのかは重要です。

事前に選挙実務を勉強して、自民党の指揮官に頼り切りにならないようにする。実際の運動は自分が集めた友人・知人たちの運動員に頑張ってもらう。ここで自分がどれだけ自民党から自立した選挙ができるかで、その後の自分の自立性が決まってきます。

ほんと自民党の議員たちは、自分の利益になるときにしか頑張りませんから、注意が必要ですよ(笑)。自民党の議員に頼り切るのではなく、自分で戦える体制を整える努力をする。国防と同じです。アメリカに頼りっきりの日本は、アメリカからは完全に自立できない。もちろん完全に自立することが全て良いわけじゃないですが、できるかぎり自分のことは自分でやる、という基本原則はしっかり押さえる必要がありますね。それでも、やっぱり自民党の看板を使えることは、物凄く選挙でプラスになるでしょうね。

問題は、選挙に出馬しようと思うと、まあ色んな人が寄ってくることです。あなたが当選の見込みありとなれば、権力に近づこうとする人が、電灯に集まる蛾のように集まってきますよ。

そこで彼ら彼女らが必ず言うことは「俺、私は、○○票を動かすことができる」ということです。そして有力な政治家といかに距離が近いか、有名企業の社長といかに距離が近いかを誇示します。その人自身、ある程度の肩書をもっていることも多いです。

でも、はっきり言います。今、選挙に影響するほどの票を動かせる人は、創価学会の幹部くらい。あとは口だけだと思っていて十分です。色々な業界団体の幹部も近寄ってくるでしょう。確かに団体によっては、団体の統一方針に基づいて、ある特定候補に票を集めることができるところもあります。

しかしそれは選挙を決定的に決めるほどのものではありません。『政権奪取論』にも書きましたが、そのような団体票は一定数存在することは間違いありませんが、それ以上に無党派層の票の方がはるかに多いですし、団体のメンバーの中には、団体の統一方針に従わない者も多い。

(略)

もちろん、あなたが旧来型の自民党的な政治をやりたいなら、業界団体や、このような有名企業の社長連中とがっちりとタッグを組んで下さい。

しかし、旧来型の政治とは異なる新しい政治をやりたいというなら、自民党との距離感と同じく、業界団体や企業の社長連中との距離感も重要になってきます。

■僕が大阪維新の会を作ったのも知事の実績ができてから

これとは全く別に、地域政党を作って出馬する、という選択肢も考えているようですね。それは止めなさい。あなたがとんでもない実力者なら別ですが、そうでない限り、それは絶対に無理です。

あの小泉進次郎さんでさえ、今、自分の政党を作っても、それで自民党をはじめとする既存の政党と戦って勝利を収めることは難しいです。

僕が大阪維新の会を立ち上げたのも、大阪府知事としてそれなりの実績が評価されてはじめて可能となりました。僕が大阪府知事選挙に出馬した際には、それまでメディアで仕事をしていたこともあって僕の顔はある程度知られていましたが、それでも自分でいきなり政党を作って既存の政党と戦うことなど不可能でした。

有権者の支持を集めるということはそんなに簡単ではありません。あなたのチャレンジ精神を簡単に潰したくはないので、どうしても地域政党を作りたいというなら、頑張って一度やってみるのもいいのかもしれません。うまく行けばそれでいいし、失敗しても、それは次のステップへの宝になります。

それでも僕は、あなたにまず首長に当選してもらい権力を握ってもらいたい。その上で新しい政治行政を実行してもらいたい。新しい日本を! と口で言うのは誰でも簡単に言えますが、口で言うだけでは何も変わりません。行動が必要です。

最初は、自民党や既存の政党に頭を下げながら仕事をするところからの出発でしょう。役人の幹部にも気を遣うでしょう。しかしそこからは自分の努力。自分の力をつけながら、ここぞというタイミングで政党を立ち上げればいい。

学者やインテリは理想論を叫んでおけばいいだけですが、首長や政治家は違います。自分に力がなければ何もできません。

(略)

(ここまでリード文を除き約3000字、メールマガジン全文は約1万4100字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.121(9月25日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【読者の質問に答えます!】「政界復帰は?」「地盤、看板なしに知事や市長になるにはどうすればいいですか?」》特集です。

(前大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹 写真=iStock.com)

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