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なぜ土下座して謝罪しても許されないのか

プレジデントオンライン / 2019年3月25日 9時15分

精神科医 樺沢紫苑氏

■極力穏便に済ませる「悪縁」の切り方

結婚しているのに、別の女性と不倫なんて、許されない。ましてや職場内での浮気だなんて、もってのほか。そうわかっていても、一瞬の心の隙から生まれる出来心で、禁断の恋に走ってしまうのもまた、人間ならではのことだ。問題は、どうやってその関係を終わらせるか。精神科医の樺沢紫苑氏にトラブルになりにくい縁の切り方を聞いた――。

職場内の不倫などで相手と縁を切りたいときは、直接会って話をするのがベストです。なぜ面と向かって話すべきか。それは、文字や電話の声といったバーバル(言語的)な情報だけだと、こちらのノンバーバル(非言語的)な情報が伝わらないからです。人はノンバーバルなコミュニケーションのほうが相手の話を聞きやすいという実験データがあります。

これに加えて、話の切り出し方の順番を意識するとよいでしょう。

「断り」には黄金の法則があります。「(1)謝罪(感謝)+(2)理由+(3)断り+(4)代替案の提示」の順番です。

まずは、「ごめんなさい」と謝ること。特に、男性は謝罪の言葉を述べるのが苦手な人が多いですが、女性には理性よりも感情でアプローチするのが有効です。ある心理学の実験で、被験者に助手が失敗をしてみせて、相手が謝ったときと謝らなかったときを比較したところ、謝ったほうが相手からの評価が高かったという実験データがありました。

相手の目を見つめるのも重要です。ルーヴァン・カトリック大学の実験によると、アイコンタクトのある人の顔写真とない人の顔写真を見たときの脳活動を比較した際、アイコンタクトがある人の場合は脳の報酬系の一部である腹側線条体が強く活性化したというデータを得られました。報酬系というのはドーパミン神経のネットワークのこと。ドーパミンは「うれしい」「楽しい」という幸福物質。つまり、人は見つめられると好意的な感情をいだくのです。

■もっともダメなのは「理由を言って断るだけ」

そのため、土下座などもってのほか。相手にアイコンタクトができない謝罪は避けましょう。

続いて、「ありがとう」と感謝の気持ちを述べましょう。

「ありがとう」と言われると、人は相手にネガティブな感情をいだきにくくなります。

このように謝罪と感謝を述べた後に、ようやく理由を説明して断りを入れます。「~という理由で、申し訳ないけどキミと別れたいんだ」と伝えるのです。そして最後に、今後の2人の関係の代替案を伝えます。

「これからは上司としてキミのことを応援していきたいと思っているんだ」といったように。

というわけで、この順番に則ると、このような話し方になります。

「ごめんなさい。今までたくさん楽しい時間を過ごさせてくれてありがとう。これ以上不倫を続けるとトラブルが大きくなりそうだから、今日をもって2人の不倫関係を終わらせてほしいんだ。今後は上司としてキミのことを応援していきたいと思う」

もっともダメなのは理由を言って断るだけのパターン。相手の女性が感情的になり、納得してくれないでしょう。まずは謝る。この意識を徹底してください。

良い言い方:ごめんなさい、そしてありがとう
ダメな言い方:言い訳してひたすら土下座

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樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医
1965年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。著書に『学びを結果に変える アウトプット大全』など多数。

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(精神科医 樺沢 紫苑 構成=鈴木俊之 撮影=横溝浩孝)

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