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中学受験の"仕事算"はビジネスの役に立つ

プレジデントオンライン / 2019年7月15日 11時15分

■仕事の割り振りに役立つ計算方法

前回に続き、中学受験の算数で出題される「特殊算」を取り上げる。特殊算は小学校の教科書ではあまり扱わないが、中学受験では必須だ。特殊算には「ニュートン算」や「平均算」など20以上あるが、今回は「仕事算」にトライしていただきたい。

「ある仕事をするのに、Aさんは6時間かかり、Bさんは4時間かかる。この仕事をAさんとBさんが一緒に行った場合、何時間何分で終わるか?」

この問題の解き方は、まず全体の仕事量を「1」とおくのがポイントだ。そうするとAさんが1時間にこなせる仕事量は、「1÷6=1/6」となる。同様にBさんが1時間にこなせる仕事量は、「1÷4=1/4」である。

そして、2人が一緒に仕事をした場合、1時間当たりの仕事量は「1/6+1/4=2/12+3/12=5/12」となる。全体の仕事量は「1」なので、2人が一緒に仕事をすると、「1÷5/12=12/5=2時間+2/5時間」になる。「2/5時間=60分×2/5=24分」なので、「2時間24分」が答えである。

この全体の仕事量を「1とおく」という考え方は、小学生には抽象的で理解するのが難しい。実際は、全体の仕事量を1以外の数とおいても、同じ答えを導ける。では、全体の仕事量をどんな数にしたら、より楽に解くことができるのだろうか?

そのより簡単に解くためのキーワードが「最小公倍数」だ。今回の問題では、6と4の最小公倍数である、12を全体の仕事量とするのである。そうすると、図のように分数の計算が減り、格段に解きやすくなる。最小公倍数は小学5年で習うので、生徒も「なるほど」と感覚的に理解できるし、整数の計算が増えるので、ケアレスミスが起きにくい。

では次に、仕事算の応用問題にチャレンジしてみてほしい。

「ある仕事をするのにAさんは32日かかる。その一方で、同じ仕事をBさんは20日ですませられる。この仕事をAさんとBさん2人で一緒に始めることにした。ところが、Aさんは途中で何日か休んだため、仕事をすべて終えるのに15日かかった。Aさんは何日休んだか?」

先ほどと同様に、まず「全体の仕事量を160(32と20の最小公倍数)とおく」。すると、Aさんの1日の仕事量は「160÷32=5」、Bさんの1日の仕事量は「160÷20=8」となる。Bさんは15日間ずっと働いたので、Bさんのすべての仕事量は「8×15=120」だ。

一方、Aさんが働いたすべての仕事量は、全体の仕事量が160なので、「160-120=40」となる。つまり、Aさんは「40÷5=8日」働いた計算だ。したがって、Aさんが休んだ日数は、「15-8=7日」と求められる。

■仕事算はビジネスでも有用

この仕事算はビジネスシーンでも有用かもしれない。たとえば、部下に仕事を任せる際に、各人の能力を把握したうえで適切に割り振ることで仕事の効率がアップするだろう。実際は部下どうしの相性の問題などがあり単純ではないが、仕事算のような考え方があることを知っていて損はない。

仕事算は、機械を使う作業により適している。人間と違って、機械は基本的に休むことがなく、一定のスピードで動き続けるからだ。複数の機器をうまく組み合わせることで作業効率が高まるだろう。

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小杉拓也
志進ゼミナール 塾長
東京大学経済学部卒業後、IT関連会社を経て、個別指導塾の講師へ。その後、埼玉県に学習塾を開業。著書に『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』など。

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(志進ゼミナール 塾長 小杉 拓也 構成=田之上 信)

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