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岡山県の"ゲーセン内賭博場"は合法なのか

プレジデントオンライン / 2019年7月2日 15時15分

「遊戯結果に伴う景品との交換はできません」と張り紙があったが……。

■ゲームセンターに置かれた謎のショーケース

パチンコで大当たりをして、出た玉を景品に交換する。ゲームセンターのクレーンゲームで、結果としてぬいぐるみなどの景品を獲得する。

この2つは、いっけん法的に同じ行為のように見えるが、風俗営業法上は全く異なる行為だ。風営法では、パチンコ店は4号営業に分類されており、遊戯結果に応じて賞品を提供することが可能だ。一方5号営業のゲームセンターでは、遊戯結果に応じて景品を提供するのはNG。ただし特例として、小売価格800円以下のものであればクレーンゲームなどの景品として提供することが可能である。

しかし「岡山県ではゲームの結果に応じて、高額景品と交換できるパチスロ・パチンコ設置ゲームセンターが存在する」との噂があった。

その噂を検証するため筆者は岡山市の南部に潜入した。この地域には、パチスロ専門のゲームセンターが、車で15~30分程度の位置に点在しているという。そのうちの1軒にて、腰を据えることにした。

店内の雰囲気は最近流行りの明るく清潔感があるゲームセンターとは違い、どこか薄暗くタバコの臭いが充満している。そして店内でプレーしている客たちも一心不乱にプレーしており、どこか普通ではない空気が漂っていた。

最も異様だったのは、ゲームセンターであるにもかかわらず、物販用のショーケースが設置されていたことだ。中には定価3万円を超える任天堂のゲーム機、ニンテンドースイッチも3万6000円で販売されていた。しかし、店内の張り紙には「遊戯結果に伴うメダルの金品・景品への交換はできません」とある。では、何のためにゲームセンターが物販用のショーケースを設けるのだろうか……。

店内には、多種多様なパチンコ・パチスロ機が設置されていた。当たりを引けば、20枚から200枚のメダルをランダムで獲得することができるようだ。このメダルが店内でのみ遊戯可能なメダルであれば、合法的なゲームセンターとしての営業だが……。

実際にパチスロ機をプレーしてみる。着席から数十分。4000円ほどを投入したところで、私の台に7が揃い、大当たりが始まった。数回に分けて200枚ほどのメダルが払い出されたところで、男性店員が声をかけてきた。

「おめでとうございます。なかなか当たりが出ていなかったので、心配していたんですよ。初めての方ですか?」。初めて来店したことを伝えると、男性店員は店のシステムを説明し始めた。

■ショーケースに陳列されている景品と交換できる

なんと、メダル1枚は店内で10円の価値を持ち、店内のショーケースに陳列されている景品と交換できるという。つまり、メダルが3600枚あれば、店内で販売されているニンテンドースイッチも交換可能ということだ。しかも、店内に欲しい賞品がなければ、アマゾンで販売している商品も取り寄せて交換可能だという。

私が獲得した200枚のメダルも、この店内では2000円の価値を持っている。が、私は景品とは交換せず、店内にメダルを放棄して店を後にした。

その後、県南のゲームセンターをまわったが、そのどれもが同様のシステムで、事実上の景品交換を行っていることが確認できた。

刑事事件に詳しい渋谷青山刑事法律事務所の岡本裕明弁護士にこの営業形態についてコメントを求めたところ「パチスロ機とクレーンゲームの遊戯性は全く異なるものであり、パチスロ機において賞品を提供する行為は風営法第23条第2項に規定する『遊戯の結果に応じて賞品を提供』する行為に該当するため、払い出される賞品の種類や金額にかかわらず法的な問題があり、賭博とみなされる可能性もある」との回答があった。

しかし、今回潜入した店内には岡山県公安委員会の認定証が貼られていた。岡山県公安委員会はこの営業形態を知っていて許可を出したのか、それとも認定後に店舗がシステムを変更したのか。どちらか断定することはできないが、このような店舗が野放しとなっている現状に、今後どう対応していくのか注目していきたい。

(網田 和志 撮影=網田和志)

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