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夫介護10年"79歳専業主婦"宅建合格のミラクル

プレジデントオンライン / 2019年10月6日 11時15分

和田京子氏

加齢とともに記憶力は落ちるといわれている。だが脳の可能性は無限大だ。今回、「最高齢」で難関資格に合格した人たちに、その学び方を聞いた。第4回は「79歳で宅建士」の和田京子さんだ――。(全4回)

和田京子さん(89歳)は不動産業を営む経営者だ。和田さんが宅建(宅地建物取引士)の試験に女性最高齢合格を果たしたのは、79歳のとき。ずっと専業主婦で、不動産業の経験などない状態からの挑戦だった。80歳で和田京子不動産を創業し、仲介手数料を無料にするなどのサービスを提供、着実に事業を運営してきた。どのようにして難関資格を取得したのか。

■チェックボックスを書き足して勉強

とにかく「宅建命」。命をかけて勉強しました。

77歳で夫を看取りました。10年間にわたる老老介護から解放され、緊張の糸が切れたように気力を失い、自分は「終わった人間」だとさえ思っていました。そんな私を見かねた孫が、「おばあちゃん、勉強しようよ」と言い出したんです。80間近の人間が勉強なんて、と思ったのですが、「好きなことを勉強したらいい」という言葉で思い浮かんだのが、不動産業でした。

私は人生で7軒、住居を購入しています。そのいずれもが欠陥住宅で、トイレが使えない、排水管がデタラメといったトラブルに直面してきました。それに、私には昔から、自分がとても買えないようなお家の間取り図を描いて楽しむという趣味がありました。

それで、宅建の勉強を始めることにしました。最初に過去問に挑戦したところ、半分くらい正解したんですよ。でも、実は宅建の問題は、半分は簡単で、もう半分が難問なんですね。それを当時はわからないまま、意気込んで勉強を始めました。

■学校を信じて、脇目もふらずに勉強の日々

東京・水道橋にある大原簿記学校(※専門学校)に通うことにしました。理由は、娘が「熱血先生が多いよ」と勧めてくれたからで、実際に受講してその情熱に惹かれました。あとはもう、学校を信じて、脇目もふらずに勉強の日々です。

大原簿記学校のテキスト。授業で大切だと思ったことは、テキストにどんどん書き込んだ。

とにかく、宅建一筋、大原一筋です。朝目覚めたら、朝練として問題を解き、軽く朝食をとって学校へ。月・木10時からの2時間ずつ、の週2回講義の半年コースの受講に決めました。

学校に行くなんて久しぶりなものですからワクワクしてしまって、授業の何時間も前から予習しに通いました。講義が終わると、どこにも寄り道せずに家に帰る日々。というのも、学校で「人間、物事をはっきり記憶しておけるのは1時間。2時間、3時間も経てば忘れてしまう」と教わったからです。しかも、私は80手前で記憶力はザル。だから、授業が終わった後は一直線に家に帰って、その日の内容を音読して復習しました。

勉強に用いるのは、学校で購入したテキストのみ。大原の宅建のテキストは、「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限・税その他」があり、それぞれが過去問から構成されています。授業で大切だと思ったことはどんどんテキストに書き込んで、何度も過去問を解きました。テキストには各ページを解いたごとにつけるチェックボックスが10個あったのですが、私はそのチェックボックスを書き足して、若い人に負けないように、もっと何度も解くようにしました。

努力の甲斐あって、試験には1度目で合格。「その年ですごいですね」と言われるのですが、勉強漬けになれる環境を家族がつくってくれて、応援してくれたことがとても大きかった。家族と、熱意ある先生に、心から感謝しています。

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和田 京子(わだ・きょうこ)
和田京子不動産代表取締役社長
1930年、愛知県生まれ。77歳で夫と死別するまで専業主婦。2009年、79歳で宅地建物取引士試験合格。10年、80歳で起業し、和田京子不動産代表取締役社長。24時間営業・年中無休・物件購入者からの手数料無料という三本柱を掲げる。

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(和田京子不動産代表取締役社長 和田 京子 構成=伊藤達也 撮影=原 貴彦)

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