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「夏休みに勉強した子」が秋に成績を落とすワケ

プレジデントオンライン / 2019年9月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

夏休みに勉強を頑張ったのに、秋に成績が悪くなる子がいる。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「この時期は、夏からの疲れが残っている。体調を整えることを優先して、勉強量を減らしたほうがいい。その後に成績を上げ、受験本番にピークをもっていくのだ」とアドバイスする——。

■夏休みに頑張ったのに、模試でガタ落ち……

「夏休みは受験の天王山」。そう言われて、小学校生活最後の夏休みは塾以外どこにも行かずに、毎日10時間勉強した。こんなに頑張ったのだから、次の模試はきっと成績が伸びているはず。そう思って挑んだ、夏の終わりの模試は、まさかの成績ガタ落ち……。

えっ、これって、うちの子のこと?

そう思った親御さんは多いだろう。実際、多くの子が、夏の終わりの模試で思うような結果が出ずにガックリしているはずだ。

成績ダウンの原因は、この夏に学習した膨大な知識を頭の中の引き出しに乱雑に放り込んだまま、テストを受けてしまったことだ。詰め込むだけ詰め込んでみたけれど、整理整頓ができていないから、「あ~、これやったなぁ~(あったなぁ~)。でも、えーっと、えーっとなんだっけ(どこだっけ)?」と引き出しの中から取り出せない。そんな悔しい失点ばかりだ。

また、生活のペースの乱れも考えられる。夏休み中、日中は塾の夏期講習に通い、夜はたっぷりの宿題を解いていれば、どうしても寝る時間が遅くなってしまう。すると、早起きができなくなり、朝は9時過ぎに起きる生活になる。

ところが、模試は午前中に実施される。朝が遅い生活に慣れてしまった子は、頭が働かないままタイムオーバーに。

頑張ったのに結果が出ない。どうやら、頑張り方を間違えてしまったようだ。だが、夏休みの頑張りは決して無駄ではない。覚えた知識をきちんと整理整頓すれば、必ず生きてくる。

■勉強の量を減らして、体調を整える時期

2学期が始まると、再び学校と塾の二重生活になる。夏休みの頑張りによる疲れに追い打ちをかけるのが、猛暑の中での運動会の練習だ。小学校では、10月の第2月曜日の「体育の日」に合わせて運動会を実施するところが多く、2学期が始まると同時にその準備が続く。9月とはいえ残暑は厳しく、特に今年は真夏日も続いた。そんな中で、練習をすれば、体力は消耗するばかり。

中学受験をする子のほとんどは、小学校での成績がよく、クラスメートや担任の先生から頼りにされていることが多い。そのため、運動会では運営委員を任されていたり、応援団のリーダーを務めていたりする。こうした経験はとても大事だが、中学受験の勉強をする上では足を引っ張ることにもなる。

だが、小学校で運動会があろうがなかろうが、そんなことはおかまいなしに塾からは相変わらず大量の宿題が課せられる。でも、疲れている時にいくら気合で頑張ろうとしても、よい結果にはつながらない。むしろ、このまま頑張り続けてしまうと、本番直前で力尽きてしまう危険性がある。そこで、この時期は体調を整えることを優先し、勉強の量を少し減らすことをおすすめする。

■「睡眠時間をしっかり取ること」が最優先

入試まで5カ月を切ったのに、勉強量を減らす? 冗談じゃない、まだやり残していることは山のようにあるのに……。そう思う親御さんもいるだろう。そういう親御さんは、志望校に合格するには「毎晩夜中まで勉強しなければならない」「1冊の参考書がボロボロになるまで読み込むべき」と思い込んでいる。

でも、その記憶はおそらく自身の大学受験の時の話であり、成長段階の途中にいる小学生には通用しない。子供は睡眠時間をしっかりとることが最優先だ。

夏から続く疲れを一度取り除くためには、「今は体調を整える大事な時期」と割り切って、やるべきことを絞り込む。この時期は演習問題をガンガン解くよりも、苦手分野の克服をじっくり取り組むことをすすめる。

苦手分野の勉強は子供にとっては決しておもしろいものではないが、苦手に取り組める最後の時期だと思って、しっかり向き合ってほしい。

■中学受験に必要な「9月10月の停滞期」

苦手分野の勉強には時間がかかるし、その間は得意な科目に手をつけないので、次の模試でも飛躍的に成績が上がることはないかもしれない。でも、ここで焦らないことだ。この時期こそ、親の忍耐力が試される時。頑張るわが子に励ましの言葉をかけ続けてほしい。

苦手分野の克服は、遅くても11月までには終わらせておきたい。その時点でやり残しがあっても(実際はそういう子の方が多い)、ここで終わりにする。そして11月からは、4教科の総合点を上げていく勉強に切り替える。

中学受験は4教科の総合点で合否が決まる。まだ算数に苦手分野がたくさん残っていても、得意の国語や社会で点が取れ、合格ラインに達することができれば、それでいい。すべてを完璧にする必要はないのだ。

9月、10月と一時的に下がってしまった成績を伸ばしていくのはここからだ。ここから徐々に成績を上げ、本番にピークを持っていく。これを私は「黄金の合格曲線」と呼んでいる。この曲線を目指せば、今現在の成績を悲観する必要はない。むしろ、中学受験には必要な停滞期なのだ。

■入試直前1カ月前こそが「本当の天王山」

そして、最後の1カ月は、得意な分野を中心に進めていく。「ここは大丈夫」「ここも大丈夫」、そうやってできていることを実感し、モチベーションを上げていく。最後の最後に必要なのは、「ボクならできる!」という自信だ。その気持ちこそが、小学生が挑む中学受験では最大の武器になる。

受験の天王山は「勉強量」ではない。本当の天王山は、子供自身が「よし、絶対に合格するぞ!」と気持ちを高め、集中して勉強に向かえる時。多くの子の場合、それは入試直前1カ月にあたる。ここでグングン伸びていく子を、私はこれまで何人も見てきた。

だから最後までわが子の力を信じて、応援してあげてほしい。中学受験には確かに、逆転合格がある。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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