秋の終わりに来る「冷え」に上手に対処する法

プレジデントオンライン / 2019年10月17日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/damircudic)

朝晩の冷え込みが強くなり、そろそろ霜が降りる「霜降」の季節は、カラダが冷え、不調が現れやすくなります。この時期のココロとカラダの養生法を知り、上手に乗り切りましょう。

■夏から秋、そして冬がスタートするギャップで、体力もココロのバランスも低下

霜降(そうこう)は10月24日~11月7日の時期で、朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りる時期を指します。山など標高が高いところから霜が降り始め、次第に平野にも降りてきて、いよいよ冬の始まりを告げるサインとなります。

この時期は燃え上がる夏から秋の実りを経て、冬に向かう季節であることから、そのギャップにむなしさを感じ、くよくよと悩みがちになります。同じことを何度も考え、前向きになれないかもしれません。さらに、寒さも日に日に増してくることから血液の循環も悪くなり、カラダの冷えもきつく、心身のバランスがくずれがちです。そのため、風邪を引いたり、気持ちが落ち込んでうつになったりと、さまざまな症状が出始めますので、十分な注意が必要です。

寒さもいよいよ本格し、霜が降り始めると、冬の到来です。季節はまだ秋ですが、確実に冬が始まっています。

季節の始まりの初候は、ヒーヨヒーヨと鳴くひよ鳥の声を耳にし、海ではホッケが旬を迎えます。季節が進む次候では、ふいに強い雨が降ったと思いきや、アッという間に青空が広がる初時雨(はつしぐれ)が見られ、山芋やキンキが旬を迎えます。

終わりである末候は、山々が色づきはじめ、紅葉があちこちで見られます。ちょうどこの時期にはサツマイモやカワハギが旬を迎え、冬へと突入していきます。

■体温が1度下がると、免疫力は3割ダウン。冷えを解消するには……

霜降は、急激に寒さも深まります。寒冷順化と言われるように、寒くなればなるほどカラダも寒さに立ち向かう準備が必要です。特に体温調節や発汗調節、震えなどは自律神経が深く関与しています。そのためこの時期は、自律神経が疲弊し、調整がうまくできない時期でもあります。免疫力も低下しやすく、風邪やアレルギーなどを発症しやすくなります。また、寒さにより動きが鈍ることから循環も悪くなり、手足の冷えやむくみが目立つようになります。慢性的な疾患を抱えている人は体調をくずしやすく、とてもつらい時期となるでしょう。

ちなみに、体温が1℃下がると免疫力が30%低下するだけでなく、代謝も13%減少することが知られています。まだカラダがうまく寒さに慣れていないために、カラダ自体を冷えないようにすることが大切です。

実りの秋といわれるように、今までの努力の成果を肌で感じることで充実感を味わっていましたが、その充実感も少しずつ薄れ、ものさみしさすら感じ始めます。そのため、焦燥感が強くなり、何事にもやる気が出なかったり、悩み事が多くなったりするのがこの時期の特徴です。

ココロの状態を変えることはとても難しいため、カラダのコンディションを良い状態に保ち、心身ともにも正常を維持するように努めましょう。

■冬に負けないカラダは、根菜と運動で内外から温めてつくる

「カラダとココロの養生法」

この時期、普段から風邪を引きやすい人はカラダを温める食材を多く摂るようにしましょう。特に、ネギやショウガなどカラダを温めてくれる食べ物やビタミンCなどは免疫力を強化するので、積極的に摂取するようにしましょう。同時に、運動はNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させ、免疫力を高めてくれることが知られており、さらに循環もよくなることで、冷え性などの改善につながります。この時期に運動会やお祭りが多いのは、お神輿を担いだり、走ったりすることで、生活の中に運動を自然と取り入れ、免疫力を高めるための生活の知恵であったと考えられます。冬に負けないカラダをつくるためにも、運動は定期的に行うようにしましょう。

運動は「フロントブリッジ」と呼ばれる、一直線の姿勢を維持する運動がお勧めです。①うつぶせになり、ヒジを床につけます。②つま先を立て、ヒジの真上に肩がくるようにします。③つま先とヒジでカラダを支え、腰を浮かせます。頭・肩・腰・ヒザ・足首までのラインが一直線になるように10秒間キープします。このとき呼吸は止めず、腰を反らさないように気をつけます。④その後、ゆっくり戻します。ここまでを1セットとし、1日3~5セット行いましょう。なお、10秒できない場合は、かなり筋力が弱く、体温が低くなっているのかも。その場合、まずは1回5秒から始め、徐々に時間や回数を増やしていくようにしましょう。

「食養生」

この季節の旬はジャガイモやサツマイモなどのイモ類です。ジャガイモやサツマイモは根菜類と呼ばれ、土の中に埋まっています。一般的に、土の中に埋まっている食べ物はカラダを温める役割が、土の外に生る食べ物はカラダを冷やす役割があります。ジャガイモやサツマイモはカラダを温める作用があるため、この時期にぴったりの食べ物です。

なお、ジャガイモは甘味とうるおいにより胃腸を守る働きがあります。一方、サツマイモにはカラダを補う作用があり、滋養強壮に役立ちます。

「お勧めのツボ」

霜降を乗りきるためのお勧めのツボは、大椎(だいつい)です(図表1)。大椎は首を前に倒したとき、首の付け根あたりに飛び出る骨の下にあります。このツボは、風邪などの呼吸器症状を緩和する際に利用することが多いツボです。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。また、触って冷たい場合はドライヤーで温めたり、お灸を行うことがお勧めです。

■食事のほかに、お灸、ツメ揉みで四肢を温めよう

【タイプ別・四肢(手足)の温め方】

この時期は、寒暖差が日に日に激しくなりますが、まだカラダの準備が整っていません。そのため、体温調節をうまく行えずに、風邪を引いたり、ホルモンのバランスをくずしたり、免疫力が落ちることでアレルギー反応が強く現れたりします。対処法として、四肢を温め、カラダのバランスを調整しましょう。

一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さでカラダが硬くなっているため、全身を温めて、緩めることが大切です。特に手足の血管が表面近くにある場所を、カイロやお灸などで温めるのが効果的です。カイロは低温で長時間温めることができるために、日常的なケアに効果的ですが、低温やけどを起こさないように、注意が必要です。お灸は高温で短時間温めることが可能ですが、熱すぎると逆に血管が収縮して血流が悪くなるのでこちらも注意が必要です。

足では太衝(たいしょう)と三陰交(さんいんこう)、手では手首周辺に神門(しんもん)、太淵(たいえん)と呼ばれるツボのあたりにカイロやお灸をすると効果的です。太衝は足の甲で、第1趾(親指)と第2趾の骨の間を足首のほうに辿っていったくぼみです。軽く触れると脈打つのを感じるところです。三陰交は内くるぶしのいちばん高いところに小指を置き、指幅4本揃えて、人指し指が当たるところです。神門は手首の曲がりジワを小指側へなでていき、骨の出っぱりの手前で指が止まるところで、太淵は親指の付け根あたりで、手のひら側にある手首にできるシワの端です。触れると軽く脈打っているところです(図表2)。

イラスト=筒井よしほ(イラストAC)

生活リズムが乱れることによっておこる生活習慣タイプの人は、カラダをリラックスさせ、自律神経を整えることが大切です。末梢の血流を良くするためにツメ揉みが効果的です。四肢は、体幹よりも脳への影響が大きいことから、脳内の血流を増加させることで気分改善に役立ち、ツメへの刺激は自律神経を整えるのに効果的です。基本的に、両手の親指、人指し指、中指、小指の4本の指のツメの生え際を揉むことで、副交感神経が刺激され、血流が改善します。なお、薬指は活動時に活発になる交感神経を刺激してしまう可能性があるので、リラックスしたいときには刺激しないようにしましょう。1本の指につき10秒ずつ心地良い程度に揉むようにし、1日2~3回程度行うようにしましょう(図表3)。

ツメ揉み=ツメの生え際を順番に揉んでいく。

■床に敷いたタオルつかみで足の筋肉量をアップさせよう

年齢による加齢タイプの人は、筋肉量の減少などで循環が悪くなっているため、カラダが冷えがちです。特に手足の筋肉を鍛えて、末梢の循環を良くすることが大切です。手足の筋肉を鍛えるには「グーチョキパー運動」が効果的。手足の指を大きく開き、グーチョキパーをしてみてください。循環が悪いと特に足の指は動きにくいはずです。このグーチョキパー運動を1日10回程度行うことで、血流が改善します。また、足の筋肉を鍛えるために、床に敷いたタオルを足指でつかむ「タオルギャザー」体操を行いましょう。1日20回程度、タオルを足の指でつかむ練習を行うと効果的です。また、ビー玉を足指でつかむのも同様に効果的です。

グーチョキパー体操=足指でグーチョキパーを順番に行い、筋肉を鍛える運動。
タオルギャザー=床に敷いたタオルを足の指でつかみ、ギャザーを寄せるように手前に引き寄せる運動。
ビー玉つかみ=足の指でビー玉をつかんでは、横に置いていく運動。

なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

霜降は冬への1歩手前の時期。ココロとカラダのバランスがくずれ、免疫力が落ちやすく、風邪などを引きやすい季節でもあります。そのため、日頃から運動などで免疫力を強化し、カラダを鍛えるようにしましょう。

「霜降の特徴」

●心身の症状
カラダ:免疫力低下による症状(風邪・アレルギー)
ココロ:悩みが多くなる

●季節に多い症状
カラダ、特に四肢の冷え

●心身の養生法
カラダを温める食材を摂る、運動する

●食養生に効く食材
ジャガイモ・サツマイモ

●ツボ
大椎(だいつい)

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伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。

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(明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授 伊藤 和憲 写真=iStock.com)

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